朱 元璋(読み)しゅげんしょう

旺文社世界史事典 三訂版 「朱 元璋」の解説

朱 元璋
しゅげんしょう

1328〜98
明の初代皇帝太祖,洪武帝(在位1368〜98)
安徽 (あんき) 省の貧農の子。元末期の大乱にあい,白蓮 (びやくれん) 教を信条とする紅巾 (こうきん) の乱に加わって一兵士から統率者となり,華中・華南の群雄平定に成功。白蓮教主韓林児 (かんりんじ) を殺し,1368年金陵(現在の南京)で即位した。国号を明,年号を洪武とし,大都を占領して元の順帝をモンゴル高原に追いやった。さらに四川雲南を征服した。漢民族の伝統復興をはかり,科挙 (かきよ) を奨励して地主層を握り,農村を復興,魚鱗 (ぎよりん) 図冊(土地台帳)や賦役 (ふえき) 黄冊(戸籍原簿)の作成,里甲制の整備などにより財政確保につとめた。宰相胡惟庸 (こいよう) を粛清し,以後は宰相を置かず,六部 (りくぶ) を皇帝直属とした。軍事面は5人の都督(最高司令官)を置き,権力の集中を防止し,地方にも民政・軍事・刑事の官を並置させ皇帝直属とした。さらに明律・明令の制定,民衆教化のための六諭 (りくゆ) の発布などにより,宋以来の君主独裁権を強化した。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

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