村田実(読み)ムラタミノル

デジタル大辞泉 「村田実」の意味・読み・例文・類語

むらた‐みのる【村田実】

[1894~1937]映画監督俳優東京の生まれ。はじめ新劇界で活躍小山内薫おさないかおる師事帰山教正かえりやまのりまさ映画に出演したのち、小山内とともに松竹キネマに入社し「路上霊魂」などを監督。他に「清作の妻」「街の手品師」「灰燼かいじん」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「村田実」の意味・わかりやすい解説

村田実
むらたみのる
(1894―1937)

映画監督。東京生まれ。東京高等師範付属中学校卒業。演劇を志して小山内薫(おさないかおる)に師事、18歳で新劇団とりで社を結成した。河合武雄らの門下生になって劇界を放浪。1917年(大正6)新劇団踏路社を青山杉作らと発足させ、さらに翌年帰山教正(かえりやまのりまさ)の純映画劇運動に参画し、『生の輝き』『深山の乙女』に出演した。1920年松竹キネマに入り、『奉仕の薔薇(ばら)』を、翌年小山内が総指揮をした『路上の霊魂』を監督。国活を経て1923年に日活入社、『清作の妻』(1924)、『街の手品師』(1925)などで現代劇映画創出の旗手となった。以後も『灰燼(かいじん)』(1929)、『この太陽』(1930)、『霧笛』(1934)、『桜の園』(1936)で象徴的に人生をみるロマンチックな作風を展開したが、43歳で早世

[千葉伸夫]

資料 監督作品一覧

光に立つ女(女優伝)(1920)
路上の霊魂(1921)
君よ知らずや(1921)
奉仕の薔薇(1920)
父の罪(1923)
地獄の舞踊(1923)
お光と清三郎(1923)
清作の妻(1924)
猛犬の秘密(1924)
懐かしの郷(1924)
信号(1924)
お澄と母(1924)
金色夜叉(こんじきやしゃ)(1924)
新籠(かご)の鳥(1924)
運転手栄吉(1924)
青春の歌(1924)
お光と清三郎(1924)
街の手品師(1925)
法を慕ふ女(1925)
孔雀(くじゃく)の光 第一篇・第二篇(1926)
日輪 前後篇(1926)
素敵な美人(1926)
神州男児の意気(1926)
椿姫(1927)
結婚二重奏 前後篇[田坂具隆・阿部豊との共同監督](1928)
激流 前後篇(1928)
灰燼(1929)
摩天楼 争闘篇(1929)
摩天楼 愛慾篇(1930)
この太陽 第一篇・第二篇・第三篇(1930)
ミスター・ニッポン 前後篇(1931)
海のない港(1931)
白い姉 前後篇(1931)
上海(1932)
一九三二年の女(1932)
昭和新撰組(1932)
青春街(1933)
春の目醒め(1934)
霧笛(1934)
山の呼び声(1934)
花咲く樹 前篇 なみ子の巻・後篇 エマ子の巻(1934)
女の友情(1935)
情熱の不知火(1935)
突破無電 前後篇(1935)
桜の園(1936)
新月抄(1936)

『岸松雄著『人物 日本映画史1』(1970・ダヴィッド社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「村田実」の意味・わかりやすい解説

村田実
むらたみのる

[生]1894.3.2. 東京
[没]1937.6.26. 東京
映画監督。初め新劇運動に身を投じたが,帰山教正らの純映画劇運動に参加。『生の輝き』 (1918) ほかに出演後,松竹キネマに入社,監督となった。『路上の霊魂』 (21) は日本映画史に残る代表作。ほかに『清作の妻』 (24) ,『街の手品師』 (25) ,『日輪』 (26) ,『灰燼』 (29) など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「村田実」の解説

村田実 むらた-みのる

1894-1937 大正-昭和時代前期の映画監督。
明治27年3月2日生まれ。はじめ新劇界で活躍,小山内(おさない)薫にしたがって大正9年松竹キネマにはいる。10年「路上の霊魂」を監督。のち日活で「清作の妻」「街の手品師」「灰燼(かいじん)」など,現代劇に秀作をのこした。昭和12年6月26日死去。44歳。東京出身。東京高師付属中学卒。

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世界大百科事典(旧版)内の村田実の言及

【日本映画】より

…そこへ出現したのが帰山教正(かえりやまのりまさ)(1893‐1964)の〈純映画劇〉である。
[帰山教正と純映画劇運動]
 天活の映写技師兼外国部員であった帰山教正は,陰ぜりふの廃止と字幕の使用,女形に代わる女優の採用,演出法の改革に基づく〈純映画劇〉運動を提唱,新劇の村田実,青山杉作らと映画芸術協会を組織して,天活首脳部を説得し,18年,《生の輝き》《深山(みやま)の乙女》をつくった。2作品は意欲にあふれたもので,最初の映画女優・花柳はるみを生み出したが,商品性に乏しいという理由から翌年秋になってようやく公開され,革新性は認められつつも,外国映画の模倣の濃い試作にすぎないと受け止められて,興行的にも失敗した。…

※「村田実」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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