条件(法律)(読み)じょうけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「条件(法律)」の意味・わかりやすい解説

条件(法律)
じょうけん

法律行為の効力の発生または消滅を、将来発生するかどうかが不確定な事実の成否にかからしめる付款。試験に合格したら学費を出すといったように、発生に関する場合を停止条件といい、落第したら学費を打ち切るというように、消滅に関する場合を解除条件という。将来発生するかどうかが不確定な事実(たとえば、試験に合格したらなど)にかからしめられている点で、将来かならず到来する事実(たとえば、自分の死んだときなど)にかからしめられている期限と区別される。意思表示には原則として条件をつけることが許されるが、例外的にそれが許されない場合がある。第一は、条件をつけることが強行法規または公序良俗に反する結果となる場合である(たとえば、婚姻・縁組みなどに条件をつけること)。第二は、単独行為に条件をつける場合のように、相手方の法律上の利益を著しく害するような場合である(たとえば、相殺(そうさい)、解除などに条件をつけること)。条件の実現を条件の成就(じょうじゅ)といい、不実現を不成就という。条件付法律行為は、条件の成否確定前においても、期待権として一定の保護を受ける(民法128条・129条)。また、条件の成就によって不利益を受ける当事者故意に条件の成就を妨げたときには、相手方はその条件を成就したものとみなすことができる(同法130条)。

淡路剛久

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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