東大阪市(読み)ヒガシオオサカシ

デジタル大辞泉 「東大阪市」の意味・読み・例文・類語

ひがしおおさか‐し〔ひがしおほさか‐〕【東大阪市】

東大阪

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日本歴史地名大系 「東大阪市」の解説

東大阪市
ひがしおおさかし

面積:六一・七二平方キロ

河内地方の中央東部に位置し、東部は大和との境をなす生駒山地と、西麓の傾斜地・扇状地からなり、金剛生駒国定公園の一部を占める。中央部は恩智おんぢ川・玉串たまくし川、西部は第二寝屋川長瀬ながせ川流域の沖積低地を市域として大阪市に隣接し、北に大東だいとう市、南に八尾やお市がある。昭和四二年(一九六七)枚岡ひらおか市・河内かわち市・布施ふせ市の合併によって成立した。市域は古代以来の河内・若江両郡の大部分を占め、渋川郡の一部に及ぶ。

〔原始〕

縄文時代前期(約七千―六千年前)には大阪平野には海が広く浸入し、当市域では地質学上でいう河内湾Iが生駒山麓まで入込んでいた。同時代前期末から同中期(約五千―四千年前)になると、流入する淀川と大和川のつくる三角洲で河内湾が縮小してゆく。生駒山地西麓の正興寺山しようこうじやま遺跡・千手寺山せんじゆじざん遺跡・山畑やまはた遺跡で、先土器時代のサヌカイト製ナイフ形石器が採集されている。縄文時代になると、草創期の有舌尖頭器が草香山くさかやま遺跡で採集されているほか、善根寺山ぜんこんじやま遺跡では中期の土器が採集された。同時代晩期から弥生時代前半(約三千―二千年前)には砂洲がさらに北へ延びて湾口が狭まり、縮小した水域は河内潟となる。縄文後期の遺跡には縄手なわて遺跡や馬場川ばばがわ遺跡などがあり、生駒山地西麓の扇状地上に遺跡が増加する。縄手遺跡では竪穴住居跡、馬場川遺跡では多くの晩期の土偶も発見されている。晩期の遺跡は、多くの人骨が発見された日下くさか貝塚などをはじめとして扇状地上に増加する。最近の調査によって、河内の低地部に位置する若江北わかえきた遺跡や新家しんげ遺跡でも、縄文土器が発見されている。

弥生時代になると扇状地上の鬼塚おにづか遺跡などのほか、鬼虎川きとらがわ遺跡、高井田たかいだ遺跡、瓜生堂うりうどう遺跡など低地部に大規模な集落が営まれるようになった。鬼塚遺跡では縄文晩期の土器も発見されており、今後稲作農耕文化を受入れた当時の状況を明らかにするうえで重要な遺跡といえる。鬼虎川遺跡では多くの木製品などのほか銅鐸の石製鎔笵が出土し注目される。瓜生堂遺跡では埋葬主体が明らかな方形周溝墓が多数発見されており、当時の墓制を知るうえで重要な資料が提供された。弥生時代中期末には大和川の洪水によって低地の遺跡の大半は消滅したと考えられるが、その後の様子は明確でない。後期の遺跡も多く、西にしつじ遺跡は代表的なものである。弥生時代後期から古墳時代前期(約一千八〇〇―一千六〇〇年前)になると河内低地の水域はより縮小し、河内湖とよばれる淡水湖となった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東大阪市」の意味・わかりやすい解説

東大阪〔市〕
ひがしおおさか

大阪府中央東部の中核市。 1937年小阪町,楠根町,布施町の3町と意岐部村,弥刀村 (みとむら) ,長瀬村の3村が合体して布施市が成立。 1955年枚岡町,縄手町,石切町,孔舎衙村が合体して枚岡市が成立。同年盾津町,玉川町,英田村,若江村,三野郷村が合体して河内市が発足した。 1967年布施市,枚岡市,河内市の3市が合体して東大阪市となった。生駒山地西斜面から大阪平野中部を占める。山麓の枚岡は古代文化が栄えた地で,水車動力の利用に始まる鉄や銅の伸線工業が発達。中央部の低平な河内はかつて野菜栽培中心の近郊農業地であったが,工業化が進んでいる。大阪市に接する布施は商工業地域で,鋳物,鉄線などの金属工業をはじめ機械,電気器具,雑工業などが発達,大阪東部工業地域の中心地をなす。 1965年前後から商業団地の進出がめざましく,近畿自動車道と阪神高速道路,大阪中央環状線の結節点にある東大阪流通センターには,トラック・ターミナルを中心に機械,紙,文具,ビニルなどの卸売業団地が立地。大阪中央環状線沿いの金物町には金物団地,大阪外環状線沿いには被服団地などがあり,商業流通の中心地ともなっている。国の史跡である鴻池新田会所跡 (本屋,屋敷蔵など5棟は国指定重要文化財) (→鴻池 ) と日下貝塚のほかに,石切剣箭神社 (→石切 ) ,往生院六万寺などの社寺がある。東部の奈良県境にある生駒山 (642m) を中心とする一帯は金剛生駒紀泉国定公園に属する。 JR片町線 (学研都市線) ,近畿日本鉄道東大阪線,奈良線,大阪線,大阪市営地下鉄中央線,国道 170号線,308号線が通る。面積 61.78km2。人口 49万3940(2020)。

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