引切・挽切(読み)ひききる

精選版 日本国語大辞典 「引切・挽切」の意味・読み・例文・類語

ひき‐き・る【引切・挽切】

〘他ラ五(四)〙
① 引いて切る。物を強くひっぱってもぎとる。また、鋸(のこぎり)などで挽いて切る。
歌経標式(772)「ねずみの家米(よね)(つき)ふるひ木をきりて比岐々利(ヒキキリ)いだす四つといふかそれ」
② つながっている関係や、続いている気持などを断つ。
※夜の寝覚(1045‐68頃)四「かばかりあきはつる世の中に、ひききるべくもあらぬほだしにおぼえ給も」
※羅葡日辞書(1595)「Ago〈略〉イキヲ fiqiqiru(ヒキキル)シスル
④ 最後まで引く。十分にひっぱる。
浮世草子好色一代女(1686)三「勧進といふ声も引(ヒキ)きらず、はやり節をうたひ」

ひっ‐きり【引切・挽切】

〘名〙 (「ひききり(引切)」の変化した語)
① 引いて切ること。
② 歯の細かい小さなのこぎり。
③ きれめ。くぎり。
洒落本甲駅新話(1775)「『金公なんときつい馬じゃねへか』『いっそもふ引切(ヒッキリ)がごぜんせんねへ』」
④ (本職に対し)余技
※雑俳・川傍柳(1780‐83)初「ころびがだいやで三味線は引きり」
浄瑠璃源平布引滝(1749)三「ヤア女と思ひ用捨すりゃ、付上ったるひっ切め」
咄本・私可多咄(1671)三「茶をたてけるに、〈略〉ふたにひっきりのつきたるをしらず」

ひっ‐き・る【引切・挽切】

〘他ラ五(四)〙 (「ひききる(引切)」の変化した語) ひっぱって切る。挽いて切る。ひきちぎる。
史記抄(1477)五「秦は手もひっきらいで、引あしを送て人を多く打殺たそ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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