松前(町)(北海道)(読み)まつまえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「松前(町)(北海道)」の意味・わかりやすい解説

松前(町)(北海道)
まつまえ

北海道南西端、渡島(おしま)総合振興局管内の町。渡島半島南西部の松前半島にあり、津軽海峡に面する。1900年(明治33)福山町となり、1940年(昭和15)松前町改称。1954年(昭和29)大島、小島、大沢の3村を合併。国道228号が通じる。JR松前線は1988年廃止。町名はアイヌ語のマツオマナイ(半島の意)、またはマツオマイ(婦人のいるところの意)からの転訛(てんか)とされる。鎌倉時代から和人が居住し、江戸時代は松前藩城下町で、蝦夷(えぞ)地の政治・経済の中心であった。大千軒(だいせんげん)岳、袴腰(はかまごし)岳などの山々があり、町域の大部分は山地、丘陵地。対馬(つしま)海流の影響から気候は温暖で、モウソウチクツバキが自生し、カキやイチジクも結実する。漁業を主産業とし、イカ、マス、ホッケコンブウニなどの漁獲がある。肉用牛飼育も行われる。文化財が多く、国の史跡に福山城(松前城)跡、中世の城館大館跡、松前藩主松前家墓所があり、福山城の本丸御門は国指定重要文化財。大島(渡島大島)のオオミズナギドリ繁殖地と、海鳥繁殖地の松前小島は国指定天然記念物。城の西側一帯は松前公園サクラ名所として知られ、海岸一帯は松前矢越(やごし)道立自然公園に指定されている。面積293.25平方キロメートル、人口6260(2020)。

[瀬川秀良]

『『松前町史』(1993・松前町)』


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