松本市(読み)マツモトシ

デジタル大辞泉 「松本市」の意味・読み・例文・類語

まつもと‐し【松本市】

松本

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「松本市」の解説

松本市
まつもとし

面積:二六四・三〇平方キロ

長野県の中央、旧筑摩つかま郡の中心部に位置する内陸の都市である。

糸魚川いといがわと富士川を結ぶ、中央地溝帯のつくる盆地に位置し、西に北アルプスの連山、東に筑摩ちくま山脈の連峰を眺める。小地形的にみると、城山じようやま(古くは犬甘いぬかい城山、または犬飼城山の丘陵と中山なかやま丘陵が、北から東に市街部をかかえ、南西のみ広く開けている。筑摩山脈から発し西に流れるすすき川と、同じく筑摩山脈を発して西に流れ、稲倉ひなぐら付近から南に屈曲する女鳥羽めとば川とは、松本市街地を中心に一は西向きに、一は南向きに複合扇状地をつくる。二つの扇状地は、それぞれ広い湧水地帯をもち、北からは松本城以北の住宅地、旧松本城内や堀に通じ、深志大池ふかしおおいけ地蔵清水じぞうしみず二ッ井戸ふたついどなどに噴出し、東からはあがたおか高等学校・槻井泉つきいずみ神社付近一帯の湧泉、市街地に入って筑摩つかまの湧水、源智げんちの名水をもつ。これらの広い湧泉地帯は、古代からこの地の人々の生活の基盤となり、松本城下町及び松本市の発展に大きな影響を与えている。松本市元標付近の標高は五九一・九五メートルである。市街地の西に岬のように突き出ている城山の南の突端をめがけて、前記二川のほか、南からの川・牛伏うしぶせ川・奈良井ならい川、西からくさり川・あずさ川が集まり、ここに低地帯をつくる。

〔原始〕

縄文時代中期以前の遺跡は、旧市街地周辺の丘陵・山麓地帯に多い。縄文時代早期・前期のものとして今井いまい地区の西原にしはら・コブシ畑遺跡があり、遺跡所在地はやはり高所である。コブシ畑遺跡は調査され、縄文早期の土器片(穀粒押型文・山形押型文)、縄文中期住居跡・窯跡・土器が出土した。

昭和四五年(一九七〇)もと町の女鳥羽川川底の地表下四メートルの所から、土器と石器、桃・栗・胡桃、哺乳動物の歯牙・鹿の角などが発見された。同時に蒲・葦などの水辺植物の堆積層が発見され、かつてここが浅い沼沢地帯であったことがわかった。河床の礫を除くと二メートル余の粘土層があり、その下は泥粘土層となっていて、その中に縄文後期の土器の破片や大型土偶、石鏃などがあり、人々はこの浅い沼沢地帯周辺で生活していたことがわかる。女鳥羽川めとばがわ遺跡近くの湧水地帯からは建造物の木材・剣状木器・ひしゃく用のひさご等が発見された。また本郷ほんごう地区洞の塩辛ほらのしおから遺跡・大村南おおむらみなみ遺跡・浅間温泉のカラオケ遺跡も発掘調査され、浅間温泉の周辺にも縄文遺跡が分布していることが確認された。平地の縄文遺跡として、笹賀地区牛の川うしのかわ遺跡がある。

弥生時代の遺跡は寿ことぶき地区に百瀬ももせ遺跡があり、土器・馬歯などを出し、土器様式は百瀬式と名付けられている。

松本市
まつもとし

2005年4月1日:松本市が東筑摩郡四賀村南安曇郡梓川村・安曇村奈川村を編入
【四賀村】長野県:東筑摩郡
【松本市】長野県
【梓川村】長野県:南安曇郡
【安曇村】長野県:南安曇郡
【奈川村】長野県:南安曇郡

松本市
まつもとし

2010年3月31日:松本市が東筑摩郡波田町を編入
【松本市】[変更地名]長野県
【波田町】長野県:東筑摩郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「松本市」の意味・わかりやすい解説

松本〔市〕
まつもと

長野県中西部,松本盆地の中心部と飛騨山脈(北アルプス)の東斜面を占める市。西で岐阜県に接する。1907年市制。1954年に近隣の 13村を編入。1964年新産業都市に指定された。1974年本郷村を編入。2005年四賀村,奈川村,安曇村,梓川村の 4村を編入。2010年波田町を編入。主要部は,奈良井川支流の女鳥羽川,薄川などの扇状地上にある。奈良時代末期に国府が置かれたが,中心市街地は永正1(1504)年に築かれた深志城(松本城)の城下町として形成され,近世は松本藩の城下町,飛騨街道,北国西街道,千国街道が集まる交通の要地として発展。明治初期には筑摩県庁が置かれた。第2次世界大戦前は県下有数の製糸工業地で,陸軍の連隊駐屯地としても繁栄した。大戦後は長野県西半の商業の中心地になるとともに,精密機械,電子機械,食品,木工などの工業が発達。農村部では中央部の梓川扇状地が穀倉地をなすほか,リンゴ,ブドウなどの果樹やレタス,トマトなどが栽培される。西部には特別名勝・特別天然記念物の上高地乗鞍高原などの景勝地があり,白骨温泉坂巻温泉などの温泉地もあるため,観光業も重要。国宝・史跡に指定されている松本城,文明開化期の洋風建築で知られる旧開智学校校舎(国指定重要文化財),弘法山古墳(国指定史跡)などがあり,白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石は特別天然記念物。槍ヶ岳,穂高岳など飛騨山脈登山の玄関口でもある。東部は筑摩山地の南西部にあたり,美ヶ原美ヶ原温泉郷がある。市域の一部は中部山岳国立公園および八ヶ岳中信高原国定公園に属する。JR中央本線,篠ノ井線,大糸線,松本電鉄が発着し,国道19号線,143号線,147号線,158号線などが通り,長野自動車道のインターチェンジがある。南西部に松本空港がある。面積 978.47km2。人口 24万1145(2020)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android