朝日日本歴史人物事典 「松本幸四郎(初代)」の解説
松本幸四郎(初代)
生年:延宝2(1674)
江戸中期の歌舞伎役者。俳名小見川など。屋号は初代のみ大和屋。下総国の生まれ。元禄の初め江戸に出て久松多四郎の門人となり,久松小四郎の名で若女形を勤める。のち本姓の松本に戻り,若衆形から立役となり,正徳3(1713)年の評判記で上上吉の位付けを得た。享保1(1716)年幸四郎と改名する。初代市川団十郎の芸脈を受け継ぎ,2代目団十郎と並ぶ名優のひとりと評されるに至った。荒事,実事,武道事を得意としたが,小柄で拍子事(舞踊)は不得意だった。2代目は養子が継ぎ,のち名優4目代市川団十郎となった。3代目はその実子で,これも名優5代目団十郎の前名である。
(井草利夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報