枸橘・枳殻・枳(読み)からたち

精選版 日本国語大辞典 「枸橘・枳殻・枳」の意味・読み・例文・類語

から‐たち【枸橘・枳殻・枳】

〘名〙 (「からたちばな(唐橘)」の略)
① ミカン科の落葉低木。中国原産で、古くから日本で栽植される。幹は高さ二~三メートルになり、枝には稜角があり、やや扁平で、長さ三~六センチメートルの刺(とげ)が互生する。葉は互生し三小葉からなる複葉で、各小葉は卵形で縁に細かい鋸歯(きょし)があり、葉柄には狭い翼がある。晩春、葉に先だって径五センチメートルほどの白色の五弁花が葉腋(ようえき)に単生する。果実は径約五センチメートルの球形で黄熟して芳香があるが、食べられない。漢方で乾燥して健胃薬にする。古くから生垣に用いられる。きこく。
▼からたちの花《季・春》
▼からたちの実《季・秋》
万葉(8C後)一六・三八三二「枳(からたち)の棘原(うばら)苅り除(そ)け倉立てむ屎(くそ)遠くまれ櫛造る刀自」
俳諧・続虚栗(1687)冬「枳(カラタチ)に木がらしいたき心かな〈巴風〉」
② (カラタチの花ことば、「わたしは胸を痛めています」によっていう) 女学生用語で、胸をわずらっている人。肺病の人。〔モダン用語辞典(1930)〕
物類品隲(1763)三「菝葜 和名さるとりうはら 又和さんきらいと云、近江讚岐方言からたち」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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