柏(市)(読み)かしわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「柏(市)」の意味・わかりやすい解説

柏(市)
かしわ

千葉県北西部、利根川(とねがわ)中流右岸の低地と、下総台地(しもうさだいち)に広がる市。1954年(昭和29)東葛飾(ひがしかつしか)郡柏(かしわ)町と小金(こがね)町、土(つち)村、田中村が合併して市制施行、東葛(とうかつ)市となり、同年、旧小金町の大部分は松戸市に分離編入され、南相馬(そうま)郡富勢(とみせ)村の一部を編入して柏市改称。2005年(平成17)東葛飾郡沼南町(しょうなんまち)を編入。2008年中核市に移行。地名はカシワの木が多かったことに由来する。台地が広範囲に展開し、その上を複々線化されたJR常磐(じょうばん)線と国道6号が並行して走り、東武鉄道野田線と国道16号がこれを横切り、つくばエクスプレスが通じる。常磐自動車道の柏インターチェンジもある。807年(大同2)僧空海が開いたという布施弁財天(ふせべんざいてん)(東海寺)があり、中世には戸張(とばり)氏の戸張城や相馬氏の根戸(ねど)城が築かれた。江戸時代には幕府直轄の馬の放牧地「小金牧(こがねまき)」が置かれ、そのうちの上野牧と高田台牧に属しており、手賀沼沿岸の戸張は利根水運の港であった。明治以後、下総開墾会社によって小金牧への入植が進み、十余二(とよふた)、豊四季(とよしき)などの開拓集落が発生し、1890年(明治23)には利根川と江戸川を結ぶ利根運河が開削された。常磐線と東武野田線の結節点として柏の中心集落が発達し、一帯は日本初の大型公団住宅、光ヶ丘団地をはじめ、住宅団地や宅地の開発が著しく、機械・金属などの工業団地も形成された。1980年代以降、北部地域の開発が著しく、北西部に柏の葉公園が造成され、隣接して国立がんセンター(現、国立がん研究センター)東病院が1992年(平成4)に開設された。台地ではネギカブなど近郊野菜の生産が多く、利根川低地では米がつくられる。江戸時代に御用牧の牧士を務めた旧吉田家住宅は国指定重要文化財。利根川堤防には13キロメートルのサイクリング道があり、レクリエーションに適する。面積114.74平方キロメートル、人口42万6468(2020)。

[山村順次]

『『柏市史 資料編 1~11』(1969~1979・柏市)』


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