栽培植物の起源(読み)さいばいしょくぶつのきげん(英語表記)Origine des plantes cultivées

日本大百科全書(ニッポニカ) 「栽培植物の起源」の意味・わかりやすい解説

栽培植物の起源
さいばいしょくぶつのきげん
Origine des plantes cultivées

スイス人のド・カンドルAlphonse L. P. P. de Candolle(1806―1893)の著書(1883年刊)。ド・カンドル家は3代にわたる植物学者の一家で、父のオゥグスタンは『植物自然分類序説』を著すなど植物分類学に優れていた。ド・カンドルの栽培植物起源の研究法は、栽培植物について植物分類学上の位置を確定し、近縁野生種の分布地域を勘案してその起源を定めるという純植物学的手法を中心とし、ほかに言語学的手法も援用している。その結果この著書は約100年前の発行にもかかわらず、現在でも有効な資料として用いられている。100年の間には、麦類の起源の研究は大展開を遂げ、バナナジャガイモなど若干数の栽培植物では大きく研究が進歩したが、この本には当時知られていた栽培植物のほとんど全部が網羅されており、出版以後にはいまだその後の研究のない栽培植物も多数あることなどその利用価値は大きい。

中尾佐助

『加茂儀一訳『栽培植物の起源』全3冊(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「栽培植物の起源」の意味・わかりやすい解説

栽培植物の起源
さいばいしょくぶつのきげん
Origine des plantes cultivées

スイスの植物学者 A.L.P.P.ド・カンドル著。 1883年刊 (1885,英語版刊"Origin of Cultivation Plants") 。当時の栽培植物約 250種を取上げて,その起源と伝播方法について考証した。広く東洋のものについても取上げられており,たとえばベニバナ,コンニャク,カキなどまで言及している。

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