桑原武夫(くわばらたけお)(読み)くわばらたけお

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

桑原武夫(くわばらたけお)
くわばらたけお
(1904―1988)

フランス文学者、文芸批評家。福井県敦賀(つるが)に生まれる。父は東洋史学桑原隲蔵(じつぞう)。第三高等学校から京都帝国大学仏文科に学び、フランスに留学。東北大、京大においてフランス文学を講じ、京大人文科学研究所所長を務めた。初期には、スタンダールアラン翻訳、紹介を行い、『フランス印象記』(1941)、『事実と創作』(1943)を刊行、第二次世界大戦後は、「第二芸術――現代俳句について」(1946)、『雲の中を歩んではならない』(1955)、『研究者と実践者』(1960)など啓蒙(けいもう)的な批評活動を展開した。また『ルソー研究』(1951)、『中江兆民の研究』(1966)などの共同研究を推進した。学生時代、登山に打ち込んだ彼は、『回想の山々』(1944)などの著もあり、1958年(昭和33)京大学士山岳会のチョゴリザ遠征隊長を務めた。77年芸術院会員、87年文化勲章受章。

[近藤信行]

『『桑原武夫集』全10巻(1980~81・岩波書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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