桜川(茨城県南部)(読み)さくらがわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「桜川(茨城県南部)」の意味・わかりやすい解説

桜川(茨城県南部)
さくらがわ

茨城県南部、稲敷郡(いなしきぐん)にあった旧村名(桜川村(むら))。現在は稲敷市の北東部を占める地域。村内を流れる野田奈(のだな)川の別名桜川を村名とした。1955年(昭和30)古渡(ふっと)、浮島(うきしま)の2村が合併して成立した。2005年(平成17)稲敷郡江戸崎町(えどさきまち)、新利根町(しんとねまち)、東町(あずままち)と合併して市制施行、稲敷市となった。旧村域は霞ヶ浦(かすみがうら)に臨む沿岸低地と稲敷台地よりなり気候は温暖。国道51号、125号が通じる。新利根川河口である霞ヶ浦の入り江に稲敷大橋(1986年完成)が架かる。北畠親房(きたばたけちかふさ)が1338年(延元3・暦応1)に上陸した所で県史跡の神宮寺城跡など旧跡が多い。霞ヶ浦水運の要地で小野(おの)川河口の古渡は河岸町(かしまち)として栄えた。昭和初期より甘田入(あまだいり)、野田奈川、西の洲(す)の干拓が進み、水田が広がった。農業が主で米と蓮根(れんこん)が多く、浮島のダイコンは特産。阿波(あば)の大杉神社は海上安全と疫病疱瘡(ほうそう))除(よ)けの神として信仰され、「あんば囃子(ばやし)」は国の選択無形民俗文化財国史跡広畑貝塚、民俗資料館もある。

[櫻井明俊]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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