桜田一郎(読み)さくらだいちろう

精選版 日本国語大辞典 「桜田一郎」の意味・読み・例文・類語

さくらだ‐いちろう【桜田一郎】

化学者。京都の生まれ。合成繊維ビニロン開発など、高分子化学研究発展に尽力した。昭和五二年(一九七七文化勲章受章。明治三七~昭和六一年(一九〇四‐八六

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デジタル大辞泉 「桜田一郎」の意味・読み・例文・類語

さくらだ‐いちろう〔‐イチラウ〕【桜田一郎】

[1904~1986]化学者。京都の生まれ。京大教授ドイツ留学日本高分子化学基礎を築き、ビニロンなどを創製文化勲章受章。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「桜田一郎」の意味・わかりやすい解説

桜田一郎
さくらだいちろう
(1904―1986)

日本の高分子化学の開拓者。明治37年1月1日、京都に生まれる。京都帝国大学工学部に学んで、コロイド化学、繊維化学、高分子化学の道に入り、1928年(昭和3)からドイツに留学。ライプツィヒのオストワルトベルリンのカイザー・ウィルヘルム研究所(現、マックス・プランク研究所)のヘスKurt Hess(1888―1961)のもとにあって、当時新興のコロイド化学や創成期の高分子化学の息吹を吸収して帰った。1935~1967年京都大学教授。セルロース誘導体の研究から高分子の全領域に研究を展開、合成繊維「ビニロン」の完成に力を尽くし、高分子学会創設するなどして日本における高分子学の基礎を築いた。1955年(昭和30)学士院賞、1977年文化勲章を授与された。

[中川鶴太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「桜田一郎」の意味・わかりやすい解説

桜田一郎
さくらだいちろう

[生]1904.1.1. 京都
[没]1986.6.23. 京都
応用化学者。京都帝国大学工業化学科卒業 (1926) 理化学研究所に入りセルロースの誘導体の合成を研究,1928~31年ドイツ留学。 35~67年,京都大学教授。 39年ポリビニルアルコール繊維「合成1号」を開発したが,第2次世界大戦で工業化が遅れ,49年倉敷レーヨンで製造が始り,「ビニロン」の名で市場に出た。国産技術による合成繊維の大きな成功の中心人物で,高分子の構造や物性の研究にも多大な貢献をした。特に,1944年に提唱した高分子溶液の粘度と分子量の関係式は,同時期に別々に提唱した欧米の研究者と名を連ねた「マーク=フウィンク=桜田の式」として広く利用されている。 55年日本学士院賞受賞。日本学士院会員。 77年文化勲章受章。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「桜田一郎」の解説

桜田一郎 さくらだ-いちろう

1904-1986 昭和時代の高分子化学者。
明治37年1月1日生まれ。昭和10年母校京都帝大の教授となる。14年日本初の合成繊維ポリビニルアルコール繊維「合成一号」を開発。24年工業化され「ビニロン」の名で市場にでた。高分子学会の創設にも力をそそぐ。42年日本原子力研究所大阪研究所長。30年学士院賞,52年文化勲章。昭和61年6月23日死去。82歳。京都出身。

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百科事典マイペディア 「桜田一郎」の意味・わかりやすい解説

桜田一郎【さくらだいちろう】

化学者。京都生れ。1935年京都帝大教授。セルロースの構造や合成高分子を研究,ポリビニルアルコールを原料に日本最初の合成繊維ビニロンを発明,第2次大戦後は,高分子の反応機構,放射線高分子化学などを研究。1955年日本学士院賞。1977年文化勲章。

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