棚卸・店卸（読み）たなおろし

精選版 日本国語大辞典

たな‐おろし【棚卸・店卸】

〘名〙

① 期末決算、月次損益計算または資産評価のため、在庫原材料、製品、商品などの残存量、種類、品質などを調査し、その価額を評価すること。近世では、ふつう正月上旬の吉日、さらに七月にも行なった。《季・新年》

※俳諧・細少石（1668）春下「年に一度棚おろしかや藤かづら〈頼永〉」

② (比喩的に) 人の現況や過去の行動などをすっかり調べること。

※浄瑠璃・軍法富士見西行（1745）二「何故頭から身躰の棚卸(タナオロシ)してお預なされぬ」

③ 人や物の欠点を一つ一つ数えあげて指摘すること。旧悪を一つ一つ取りあげてとがめだてること。

※浄瑠璃・冥途の飛脚（1711頃）中「三人寄れば公界(くがい)忠兵衛が身体のたなおろししてくれる忝(かたじけ)ない」

④ 繭を取り終えて、蚕室を片付けること。また、その際に行なわれる祭。

※諸国風俗問状答（１９Ｃ前）備後国深津郡本庄村風俗問状答「紺屋にて染め掛備へ、棚下の後は風呂舗、財布なとにも仕」

出典　精選版 日本国語大辞典