森田芳光(読み)モリタヨシミツ

デジタル大辞泉 「森田芳光」の意味・読み・例文・類語

もりた‐よしみつ【森田芳光】

[1950~2011]映画監督東京の生まれ。「の・ようなもの」を監督し、劇場映画デビュー。コメディータッチのホームドラマ、恋愛もの、サスペンスなど幅広い分野の作品を手がける。代表作家族ゲーム」「それから」「キッチン」など。

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知恵蔵 「森田芳光」の解説

森田芳光

映画監督、脚本家。1950年1月25日東京生まれ。
日本大学芸術学部出身。78年に8ミリフィルムで自主制作した「ライブイン茅ヶ崎」で第2回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)に入賞して注目を浴びた。81年、若手落語家を主人公にした「の・ようなもの」で本格的に監督としてデビュー。
松田優作が個性的な家庭教師を演じ、家族が食卓に1列に並ぶショットが話題となった「家族ゲーム」(83年)は、シニカルなホームドラマとして高く評価され、キネマ旬報ベストワン、ブルーリボン賞監督賞など国内の多数の賞を受けた。
85年にも、松田優作主演で、夏目漱石『それから』を映画化。キネマ旬報ベストワンなどの多くの賞を受けた。
芸術的作品を発表する一方で、「シブがき隊 ボーイズ&ガールズ」(82年)や薬師丸ひろ子主演の角川映画「メイン・テーマ」(84年)、とんねるず主演の「そろばんずく」(86年)など、アイドル映画などでも手腕を発揮し、日本を代表する監督の一人となった。
97年には、中年の男女の不倫を描いた「失楽園」が大ヒット。題名は流行語になり、一種の社会現象も引き起こした。その後も、女性精神医を描いた法廷サスペンス、「39 刑法第三十九条」(99年)、中居正広主演のミステリー「模倣犯」(2002年)、伊東美咲主演の恋愛ドラマ「海猫」(04年)、黒澤明監督作品をリメイクした「椿三十郎」(07年)など多くの作品を発表したが、松山ケンイチと瑛太主演の「僕達急行 A列車で行こう」(12年春公開予定)が最後の監督作品となった。
11年12月20日、61歳の若さで急性肝不全のため東京都内の病院で死去した。「黒澤監督がシンザンなら僕はシンボリルドルフになりたい」と話すほどの競馬好きで知られ、12月24日の葬儀では、棺に有馬記念の馬券が収められた。

(葛西奈津子  フリーランスライター / 2012年)

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百科事典マイペディア 「森田芳光」の意味・わかりやすい解説

森田芳光【もりたよしみつ】

映画監督,脚本家。東京都渋谷区に生まれる。日本大学芸術学部卒業。高校時代にデビット・リーン《ドクトル・ジバゴ》を観たことで,映画にめざめたといわれる。1981年,《の・ようなもの》で監督デビュー。1983年,《家族ゲーム》(松田優作主演)の脚本・監督で注目された。1985年の《それから》(夏目漱石原作,筒井ともみ・脚本,松田優作・藤谷美和子主演)でブルーリボン賞監督賞をはじめ各賞を受賞,斬新で繊細な映像表現と緻密な語り口で日本映画の旗手の位置を獲得した。他に《ハル》(1997年),《失楽園》(1998年),《阿修羅のごとく》(2004年)など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「森田芳光」の意味・わかりやすい解説

森田芳光
もりたよしみつ

[生]1950.1.25. 東京
[没]2011.12.20. 東京
映画監督,脚本家。日本大学芸術学部在学中に自主映画を制作し,1981年に『の・ようなもの』で商業映画監督デビュー。『家族ゲーム』(1983)の意表をついた演出で注目を集め,1985年の『それから』は新世代の監督で初のキネマ旬報ベストテンの第1位など,数々の映画賞を獲得した。シリアスからコメディ,アイドル映画や恋愛物,ホラー,ミステリーなど,幅広いジャンルを次々手がけ,1997年には『失楽園』が大ヒットした。『それから』『キッチン』(1989),『失楽園』『黒い家』(1999),『模倣犯』(2002),『阿修羅のごとく』(2003)など小説を原作とした作品に加え,「バカヤロー!」シリーズなどオリジナル脚本の作品も多いが,2007年には黒沢明監督『椿三十郎』の脚本をそのまま使ったリメークに挑戦。オリジナル脚本での 2012年公開『僕達急行 A列車で行こう』が遺作となった。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「森田芳光」の解説

森田芳光 もりた-よしみつ

1950-2011 昭和後期-平成時代の映画監督。
昭和25年1月25日生まれ。8ミリ映画で活躍後,昭和56年劇場用作品「の・ようなもの」で注目される。58年「家族ゲーム」を発表,各種の映画賞を受賞。「ときめきに死す」「それから」などであたらしいスタイルに挑戦。脚本に「ウホッホ探検隊」などがある。平成16年「阿修羅のごとく」で日本アカデミー賞最優秀監督賞・優秀作品賞。平成23年12月20日死去。61歳。東京出身。日大卒。

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