検見・撿見(読み)けんみ

精選版 日本国語大辞典 「検見・撿見」の意味・読み・例文・類語

けん‐み【検見・撿見】

〘名〙
① 物事をあらため調べること。検査すること。また、その役。けみ。
吾妻鏡‐建久元年(1190)二月五日「被雑色直近・常清・利定等於奥州、是於三方。依合戦、為検見也」
② 鎌倉・室町時代、ある事件を監察するため、臨時に設けた職。
※幸若・高たち(室町末‐近世初)「鎌倉よりのけむみには長崎の四郎殿を申下し給はりて」
中世・近世、幕府領主役人を派遣して稲作の生長状態をみて年貢の率を決めること。また、その役人。けみ。
金沢文庫古文書‐元亨三年(1323)一一月二六日・下総国東庄上代郷黒部村検見帳(七・五三二七)「くろへの村のけんみもくろくの事、合田十町四反半」
※義経記(室町中か)八「この二三年知行をいくまみたるらん。けん見に罷下るべき由仰せ出さるる」
※雑俳・川柳評万句合‐明和四(1767)松五「御けん見のちそうにぶきな袖をふり」
⑤ 犬追物における役。馬場に臨んで、射手の射方、馬の扱い方、矢のあたり外れなどを糺(ただ)す役。式の犬追物には大縄の内外に居る内検見・外検見の二役がある。
※吾妻鏡‐貞応元年(1222)二月六日「於南庭犬追物。〈略〉駿河前司義村加検見
⑥ 敵の様子などを見張ること。また、その人。物見(ものみ)斥候(せっこう)
史記抄(1477)一五「監はけんみに立たやうなる心ぞ」
[補注]「検見」と書いて「けみ」と読んだ慣用も多い。特に近世の地方(じかた)用語としては「けみ」の方が一般的と思われるので、それらの複合語は「けみ…」の項で掲げた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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