楠(三重県)(読み)くす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「楠(三重県)」の意味・わかりやすい解説

楠(三重県)
くす

三重県北部、三重郡にあった旧町名楠町(ちょう))。現在は四日市(よっかいち)市南東部を占める地域。旧楠町は、1940年(昭和15)町制施行。町名は中世以来の郷村名による。2005年(平成17)四日市市に編入。旧町域は、伊勢(いせ)湾に面した鈴鹿(すずか)川の三角州上にあり、鈴鹿市に接する。近畿日本鉄道名古屋線、国道23号が通じる。南北朝時代には伊勢神宮の神田(しんでん)があり、室町時代には三河(みかわ)への海上交通の拠点で、水上関が置かれた。楠木(くすのき)氏の城も築かれ、城跡クスノキの老大木が1本ある。1933年中央毛糸(現、トーア紡マテリアル)、1934年東洋毛織(現、東洋紡ロジスティクス三重物流センター)が立地し、その後、宝酒造、三鈴工機、吉富製薬(のち吉富ファインケミカル、エーピーアイコーポレーション。2009年工場閉鎖)などが進出した。現在、四日市石油コンビナートの一部で、北伊勢工業地域の一角を占める。また、中国から輸入したハマグリを生育して全国に出荷するハマグリの蓄養が盛んである。

[伊藤達雄]

『『楠町史』(1978・楠町)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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