業(漢字)

普及版 字通 「業(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

[字音] ギョウ(ゲフ)・ゴウ(ゴフ)
[字訓] いた・わざ

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
上部は鑿歯(さくし)(ぎざぎざ)の形。下に長い柄があり、これで地を撲(う)って固めた。撲はもと業と廾(きよう)とに従い、業を両手でもつ形である。〔説文〕三上に「大版なり。鼓を縣する以なり。捷業(せふげふ)(楽器かけ)は鋸齒の如し。白を以て之れを畫く。其の(そご)相ひ承くるに象るなり」という。〔詩、周頌、有瞽〕に「業を設けを設く」、その〔毛伝〕に業を「大板なり。(しゆん)をりて縣を爲す以なり」とみえる。版築において土を撲つのに用いるものと、楽器を懸ける(しゆんきよ)に用いるものと、その形が似ているので、同じ名でよばれているのであろう。事業の意は、版築によって城壁を造営することから出ており、当時としては大事業であったので、〔詩、大雅、常武〕「赫赫業業として 嚴たる天子り」のように、形況の語に用いる。〔爾雅、釈詁〕に「業は事なり」とあり、版築のことが字の本義である。

[訓義]
1. いた。版築のとき、土を撲つ板。
2. 鐘鼓を懸けるの飾り板。上に鑿歯を加える。かざり板。
3. 版築のような大土木事業、わざ、こと、しごと、しわざ、つとめ。
4. 王朝創始のような新しいしごと。基礎。
5. 大きい、さかん、動く、活動する状態。
6. 書版、字をかく板、学問。
7. と通じ、あやうい。
8. 已と通じ、すでに。
9. 仏教語。前世因縁の関係を業(ごう)という。

[古辞書の訓]
名義抄〕業 ナリハヒ・ノリ・ツトム・ナル・モトサシ・オソシ・ウゴク・オソル・ミチ・オホイナリ・ハゲム・ナリ/家業 ナリハヒ

[部首]
〔説文〕三上(さく)を部首とし、業・叢・對(対)をその部に属する。を「叢生の艸(くさ)なり」とするのは、叢との字形の関係よりいうものであろうが、は鑿歯(さくし)の形。業は版築の土を撲ち固める器。これをもつことを對といい、相対して土を撲つ意であろう。業を両手でもつことを(ほく)といい、〔説文〕にまたを部首とするが、すべての系列に属する字である。

[声系]
〔説文〕に業声としてを収める。は地名。

[語系]
業ngiapはngyet、已jiと声に通ずるところがあり、通用する。「業已」を連用して「すでに」とよむ。

[熟語]
業宇・業峩・業貫・業業・業戸・業産・業師・業次・業主・業儒・業習・業祚・業泰・業土・業命・業余・業履・業力・業因・業縁・業果・業苦・業障・業塵・業魔・業累
[下接語]
悪業・医業・偉業・肄業・遺業・懿業・因業・永業・営業・王業・家業・稼業・課業・開業・学業・官業勧業・企業・基業・旧業・居業・虚業・兢業・勲業・経業・敬業・建業・兼業・現業・故業・工業・功業・弘業・洪業・興業・鴻業・作業・財業・罪業・三業・産業・纂業・至業・志業・始業・師業・嗣業・詩業・資業・自業・事業・失業・執業・実業・受業・授業・習業・修業終業・就業・従業・宿業・術業・巡業・筍業・遵業・所業・書業・商業・捷業・障業・職業・身業・進業・垂業・世業・正業・盛業・聖業・設業・絶業・専業・賤業・善業・祖業・争業・創業・喪業・操業・卒業・大業・怠業・定業・帝業・殄業・田業・伝業・統業・同業・徳業・内業・農業・破業・覇業・敗業・廃業・丕業・非業・罷業・畢業・婦業・副業・復業・分業・文業・別業・本業・末業・民業・夜業・余業・力業・立業・林業・烈業

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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