極東CBM(読み)きょくとうシービーエム(英語表記)Confidence-Building Measures in the Far East

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「極東CBM」の意味・わかりやすい解説

極東CBM
きょくとうシービーエム
Confidence-Building Measures in the Far East

軍事演習の事前通告や検証措置によって地域の緊張を緩和するという信頼醸成措置 (CBM) をアジア・太平洋地域にも適用するという構想。 1975年8月の全欧安全保障協力会議 (CSCE) のヘルシンキ最終議定書で CBMという表現が初めて正式採用され,86年9月のヨーロッパ軍縮会議・ストックホルム文書では信頼・安全醸成措置 (CSBMs: Confidence and Security Building Measures) へと内容的に強化された。旧ソ連は,全欧安保会議のアジア版である全アジア安全保障フォーラムを 60年代末から提案しており,極東 CBMについて積極的な姿勢を示した。ゴルバチョフ書記長は,ウラジオストック演説 (86年7月) で全欧安保会議と同趣旨の会議を広島で開催することを提案し,クラスノヤルスク演説 (88年9月) では米中ソ3国によるアジア・太平洋地域の安全保障に関する交渉などを提案した。しかし日本政府は,(1) 日ソ間では北方領土問題が未解決のままであり,平和条約も締結されていない,(2) ソ連はアジア・太平洋地域に膨大な軍事力を蓄積している,との理由から交渉は時期尚早であるとの姿勢を示した。

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