榛原(奈良県)(読み)はいばら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「榛原(奈良県)」の意味・わかりやすい解説

榛原(奈良県)
はいばら

奈良県中東部、宇陀郡(うだぐん)にあった旧町名(榛原町(ちょう))。現在は宇陀市中部を占める地域。旧榛原町は、1893年(明治26)町制施行。1954年(昭和29)伊那佐(いなさ)村と桜井町の一部、1955年内牧(うちまき)村を編入。2006年(平成18)大宇陀菟田野(うたの)2町および室生(むろう)村と合併して市制施行、宇陀市となった。中心集落の萩原(はぎはら)(古くは「はいばら」とも)は大和(やまと)と伊賀・伊勢(いせ)を結ぶ初瀬(はせ)街道(現、国道165号)の宿場町として発達、現在も近畿日本鉄道大阪線、国道369号、370号が交差する。北部は大和高原の南端を占め、室生火山群に属する額井(ぬかい)岳(大和(やまと)富士)、鳥見(とりみ)山などがある。中央部を宇陀川が北東流し、萩原付近で芳野(ほうの)川、内牧川を合する。スギ、ヒノキなどの林野が町域の69%を占め、林業が行われ、近郊農業も盛んである。近年は大阪のベッドタウンとして住宅地化も著しい。宗祐(そうゆう)寺、戒長(かいちょう)寺、悟真(ごしん)寺、仏隆(ぶつりゅう)寺は国指定重要文化財を蔵する。八滝(やたき)にある文祢麻呂墓(ふみねまろのはか)は国の史跡で、ここからの出土品国宝に指定され、東京国立博物館に収蔵されている。額井岳一帯は室生赤目青山(あかめあおやま)国定公園域で、山麓(さんろく)を東海自然歩道が通じている。

[菊地一郎]

『『榛原町史』(1959・榛原町)』

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