構て(読み)かまえて

精選版 日本国語大辞典 「構て」の意味・読み・例文・類語

かまえ‐て かまへ‥【構て】

〘副〙 (動詞「かまえる(構)」の連用形に助詞「て」の付いてできた語)
工夫手段を尽くそうとする意図意志を示す。なんとかして。心がけて。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「さこそあれ、よりあきら、かまへてなんばいともてはべる」
② 手段を尽くして実現させたいという、相手への要求命令を示す。必ず。是非。
源氏(1001‐14頃)夢浮橋「更に知られたてまつらじ、とこそ思ひ侍れ、かまへて『僻事なりけり』と聞えなしてもてかくし給へ」
③ 手段を尽くして実現させるな、という相手への禁止を示す。絶対に(…するな)。決して(…するな)。
毎月抄(1219)「かまへてかまへてあるまじき事にて候」
④ 自分の言動に間違いはないことを、相手に主張する気持を示す。間違いなく。ほんとうに。
※虎寛本狂言・末広がり(室町末‐近世初)「かまへて画の事ではおりないぞ」
[語誌]鎌倉時代まではまだ一語の独立した副詞として使用された例は少なく、しかも和漢混淆文軍記物語や説話文学作品に偏在し、意志および命令とも、肯定・否定いずれにも用いたが、室町時代には「かまひて」と音が転じて口頭語を反映する会話の場面で多用され、命令や禁止の意味を表わす特定語と呼応するものが多くなる。→かまいて(構━)

かまい‐て かまひ‥【構て】

〘副〙 (「かまえて(構━)」の変化した語) =かまえて(構━)
謡曲隅田川(1432頃)「この渡りは大事の渡りにて候。かまひて静かに召され候へ」
[語誌]→「かまえて(構━)」の語誌

かんまえ‐て かんまへ‥【構て】

〘副〙 (「かまえて(構━)」を強めた語) かならず。きっと。決して。〔かた言(1650)〕
浄瑠璃・娥歌かるた(1714頃)一「かんまへてそふじゃぞや」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android