槍・鎗・鑓(読み)やり

精選版 日本国語大辞典 「槍・鎗・鑓」の意味・読み・例文・類語

やり【槍・鎗・鑓】

〘名〙
① 武器の一つ。細長い剣を長柄の先端につけて前方へ突き出すもの。敵を突き刺すのに用いる。穂の形によって素槍・鎌槍十文字槍、柄の形によって鉤(かぎ)槍・管槍、柄の長さにより手槍・長柄などの種類がある。また、その代用に竹槍・木槍などがある。
正倉院文書‐天平一〇年(738)但馬国正税帳「槍七十四柄」
② 槍をよく使う者。武勇のある者。やりつき。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 陸上競技の槍投げに用いる用具。また、槍投げのこと。〔陸上競技法(1923)〕
④ 将棋で、香車(きょうしゃ)の俗称。
狂歌新撰狂歌集(17C前)上「五月五日けいはかへりのきんさうすやりにつかれてひしゃとこそしね」
演芸の拙いのを罵倒すること。横槍を入れること。
※雑俳・漢俳沓付(1700)「下手の諷に鎗多し」
⑥ 「やりがんな(槍鉋)」の略。
讚岐典侍(1108頃)下「あのうちへくも、やりもちたる物こはせて」
⑦ 五月の節供に飾る①を模したおもちゃ。
※雑俳・柳多留‐二九(1800)「鎗引提た向ふからしゃうぶしゃうぶ」
※雑俳・柳多留‐五五(1811)「千石も鎗も持ってる舂米屋」
陰茎の異称。
※雑俳・折句種(1791)「鎗を上手に遣ふ明き蔵」
香具師などの符丁で、「一」をいう。
※わが新開地(1922)〈村島帰之〉六「先づ商売に必要な一二三から始めるかナ。一ヤリ、二フリ、三カチ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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