20世紀日本人名事典 「横溝 正史」の解説
横溝 正史
ヨコミゾ セイシ
昭和期の推理作家
- 生年
- 明治35(1902)年5月25日
- 没年
- 昭和56(1981)年12月28日
- 出生地
- 兵庫県神戸市
- 学歴〔年〕
- 大阪薬学専門学校〔大正13年〕卒
- 主な受賞名〔年〕
- 日本推理作家協会賞(第1回)〔昭和22年〕「本陣殺人事件」,勲三等瑞宝章〔昭和51年〕
- 経歴
- 大正10年「新青年」の懸賞小説に処女作「恐ろしき四月馬鹿」が入選、14年江戸川乱歩の探偵趣味の会設立に参加した。昭和2年「新青年」編集長に就任、6年には「探偵小説」に移り、海外の名作長編を紹介する。7年文筆に専念した矢先に結核に倒れるが、再起後の第1作「鬼火」(10年)で注目され本格的な作家活動に入る。戦前は「蔵の中」「夜光虫」「真珠郎」などロマン的なスリラー、サスペンスを発表したが、戦時体制下ともあって「人形佐七捕物帳」で時代小説に新境地を開拓。戦時中の病気静養と疎開の間に本格的な推理小説を徹底的に研究。戦後21年に「本陣殺人事件」を連載、戦争中抑圧されていた探偵小説に活気を与えた。またこれに続く「獄門島」「八つ墓村」の所謂“岡山物”で主人公・金田一耕助探偵は、江戸川乱歩の明智小五郎と並ぶスターとなり、以後「犬神家の一族」「女王蜂」などを経て、舞台を東京に移し、「病院坂の首縊りの家」(50〜52年)でアメリカに渡るまで30年間活躍した。作品は他に「蝶々殺人事件」「夜歩く」「悪魔の手毬唄」「悪霊島」など。46年頃から作品が文庫本として発売、さらに映画化され、一大ブームを巻き起こした。「横溝正史全集」(新版全18巻 講談社)がある。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報