橋(クレーンの長編詩)(読み)はし(英語表記)The Bridge

日本大百科全書(ニッポニカ) 「橋(クレーンの長編詩)」の意味・わかりやすい解説

橋(クレーンの長編詩)
はし
The Bridge

アメリカの詩人H・クレーンの長編詩。1930年刊。アメリカ的文明の背景と現代人の意識を絡み合わせた難解な作品。T・S・エリオットの『荒地(あれち)』に読み取る崩壊ビジョンに対抗して創作したもの。アメリカの伝説的人物や国民的英雄、コロンブスポカホンタスリップ・バン・ウィンクル、ポー、ホイットマンらを登場させ、地下鉄ブルックリン橋などを詩的シンボルとして用い、アメリカの過去と機械文明の現在に詩的、神話的架橋工作を施そうと試みる。詩句が難解で明確を欠くため、この野心作は失敗とみなされがちである。

[徳永暢三]

『楜沢厚生訳『ハート・クレイン詩集』(1969・国文社)』

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