橋本正数(読み)はしもとせいすう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「橋本正数」の意味・わかりやすい解説

橋本正数
はしもとせいすう

江戸時代初期の大坂在住の和算家通称伝兵衛関孝和よりわずかに早く,天元術を理解したと伝えられる。江戸を中心とした関流の和算家は幕府藩主に抱えられていたが,同時代に主家に仕えず京都や大坂で活躍した和算家も少くなかった。摂津瓦林 (現西宮市) の出身で『割算書』の著者の毛利重能,京都嵯峨の『塵劫記』の吉田光由,河内狛庄の『竪亥録 (じゅがいろく) 』の今村知商,大和郡山の『改算記』の山田正重らである。正数もそれらの一人で,早くから彼を祖とする算学の一派が栄えた。天元術で問題を解いた最初の書とされる『古今算法記』 (1671) の著者の沢口一之も正数に学んだとされるほか,門人には,田中由真,橋本吉隆喜多治伯,島田左太夫,島田尚政,井関知辰,大島喜侍,古市正信らがいた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「橋本正数」の解説

橋本正数 はしもと-せいすう

?-? 江戸時代前期の和算家。
橋本吉隆(きちりゅう)の父。日本に天元術(代数学)をひろめたひとり。寛文10年(1670)門人の沢口一之(かずゆき)と「古今算法記」をあらわしたといわれるが,刊本は沢口ひとりの名になっている。大坂出身。通称は伝兵衛。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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