檜枝岐(村)(読み)ひのえまた

日本大百科全書(ニッポニカ) 「檜枝岐(村)」の意味・わかりやすい解説

檜枝岐(村)
ひのえまた

福島県南西部、南会津郡(みなみあいづぐん)の村。村名は山中に黒ヒノキが多いことによるという。国道352号が通じる。只見(ただみ)川上流およびその支流伊南(いな)川の上流檜枝岐川流域を占め、燧ヶ岳(ひうちがだけ)(2356メートル)、駒ヶ岳(こまがたけ)(2133メートル)などの高山があり、もっとも低い地点の谷底でも800メートルを超え、水稲は栽培されていない。近世はおもに木材加工を行い、小羽(こば)板、長板などが馬背輸送の中付駑者(なかつけどじゃ)で若松城下へ送られた。明治以降は養蚕、曲輪(まげわっぱ)、へら・杓子(しゃくし)製造にかわった。かつては葭ヶ平(よしがたいら)、嫁郷(よめごう)などに出作りの畑小屋があり、ソバアワをつくった。南部の燧ヶ岳や尾瀬(特別天然記念物)は尾瀬国立公園の一部で、沼山峠(ぬまやまとうげ)は尾瀬への入口の一つにあたる。近年温泉が湧出(ゆうしゅつ)し、村営温泉から各戸に引き湯するなど観光開発も進み、民宿も多い。観光産業が主で、第三次産業従事者がもっとも多い。居平(いだいら)の鎮守神境内にある「檜枝岐の舞台」は農村舞台の一典型として国の重要有形民俗文化財に指定されている。面積390.46平方キロメートル、人口504(2020)。

[安田初雄]

『『檜枝岐村史』(1970・檜枝岐村)』


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