精選版 日本国語大辞典 「欠・缺・闕」の意味・読み・例文・類語
か・ける【欠・缺・闕】
〘自カ下一〙 か・く 〘自カ下二〙
① 物の一部分がこわれる。一部が削られて取れる。
※書紀(720)神代上(兼方本訓)「劔の刃(は)、少しき(カケ)ぬ」
② 太陽や月の一部が見えなくなる。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八「日月も蝕(カケ)て光り無けむ」
③ 度合、数量などが減る。あるべきものがなくなる。不足になる。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)一「諸根具足して欠(カクル)こと无く」
※浮世草子・色里三所世帯(1688)上「女のたのしみかけて無理に堪忍せねばならぬ」
④ そろっているはずのもの、続くはずのものの一部が抜ける。
※万葉(8C後)一三・三二三六「滝屋(たきつや)の 阿後尼(あごね)の原を 千歳(ちとせ)に 闕(かくる)事なく 万歳(よろづよ)に あり通はむと」
⑤ なすべきことがいいかげんになる。おろそかになる。
か・く【欠・缺・闕】
[1] 〘他カ五(四)〙
① 物の一部分をこわす。また、一部を削り減らす。
※新撰字鏡(898‐901頃)「劓 波奈加久」
※日葡辞書(1603‐04)「カミノ ハシヲ caqu(カク)〈訳〉紙の端を切る」
② 度合、数量などの点で不足する。あるべきものを持たない。欠如する。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六「日と月と星宿と常の度において虧(カク)こと無けむ」
③ そろっているはずのもの、続くはずのものの一部を抜かす。
※蜻蛉(974頃)上「四十九日のこと、たれもかくことなくて、家にてぞする」
※古本説話集(1130頃か)一「朝ごとの御念誦、かかせ給はず」
④ いいかげんにする。おろそかにする。つとめを怠る。
[2] 〘自カ下二〙 ⇒かける(欠)
かけ【欠・缺・闕】
〘名〙 (動詞「かける(欠)」の連用形の名詞化)
① 月が、満月からしだいに不完全な形になること。
※万葉(8C後)三・四四二「世間は空しきものとあらむとそこの照る月は満ち闕(かけ)しける」
※雑談集(1305)五「飯(いひ)のかけを蟻にたびたりけるが」
③ そろっているはずのもののうち、抜け落ちたり失われたりしたもの。欠員など。
④ 「かけせん・かけぜに(欠銭)」の略。
※仮名草子・仁勢物語(1639‐40頃)上「我ならで異銭(ことぜに)撰(ゑ)るなかたなしやころかけ取らぬ法度(はっと)なりとも」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報