歯科治療と金属アレルギー

六訂版 家庭医学大全科 の解説

歯科治療と金属アレルギー
(歯と歯肉の病気)

 歯科用金属は、単体ではなく合金で用いられます。以前は純金を用いることもありましたが、現在ではほとんどなくなりました。そのため、冠やブリッジ入れ歯を入れている口のなかには、多くの金属が存在することになります。

 アレルギーとは、抗原抗体(こうげんこうたい)反応によって起こる生体反応の異常な状態をいいます。金属アレルギーは、金属やその化合物が原因(抗原アレルゲン)となって起こるアレルギーをいいます。

 歯科で用いられる主な金属は、金・銀・パラジウム白金・銅・亜鉛・スズ・コバルトクロムチタンなどであり、これらのすべてがアレルギーの原因金属になる可能性があります。また、ピアスイヤリングネックレスブレスレット、時計や指輪などに用いられている金属も同様に、アレルギーの原因となる可能性があるので、体に触れている金属はすべてアレルゲンの可能性があると思ってください。

 歯科用金属アレルギーの症状は、口のなかの粘膜がはれる、赤くなる、水疱(すいほう)ができる、びらん潰瘍ができて出血があるなどで、味がおかしい、味がしないなどの味覚異常や、口のなかの違和感掻痒感(そうようかん)などの感覚異常を生じることもあります。

 また、ピアスなど口のなか以外で歯科用金属と同じ金属を使っている場合は、症状は口だけでなく他の部位にも現れます。

 歯科治療の前に金属アレルギーがわかっていれば、原因金属を用いないで歯科治療を行います。処置後に判明した時には、アレルゲンとなっている金属の除去撤去が必要です。歯科と皮膚科の連携による治療が必要な時もあります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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