母(パール・バックの小説)(読み)はは(英語表記)The Mother

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

母(パール・バックの小説)
はは
The Mother

アメリカの女流作家パール・バックの中編小説。1934年刊。中国の農民の一人である母は、家族の世話、畑仕事、家畜のめんどうと一日中懸命に働く。ある日、ささいなことで亭主けんか、亭主は蒸発してしまう。母は亭主の帰りを待つが、やがてあきらめて家事育児に精を出す。ある日、土地代理人と過ちを犯すが、その件が母の生涯の心のしこりとなる。幼時から眼性が悪く、やがて盲目になり、山向こうの村の白痴に嫁いだ娘の死も眼疾のためかと心を痛める。作者は、不幸な一人の母を通して永遠の母性像を追求する。

[板津由基郷]

『深沢正策訳『母』(1956・創芸社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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