気仙沼(市)(読み)けせんぬま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「気仙沼(市)」の意味・わかりやすい解説

気仙沼(市)
けせんぬま

宮城県北東部、三陸海岸にある市。1953年(昭和28)気仙沼町、鹿折(ししおり)町、松岩村が合併して市制施行。1955年階上(はしかみ)、新月(にいづき)、大島(おおしま)の3村を、2006年(平成18)本吉(もとよし)郡唐桑町(からくわちょう)を合併、2009年同郡本吉町を編入。JR大船渡(おおふなと)線・大船渡線BRT(バス高速輸送システム)・気仙沼線BRT、国道45号(東浜街道)、284号(気仙沼街道)が通じる。三陸沿岸道路の小泉海岸、本吉津谷(つや)、大谷(おおや)海岸、岩井崎、気仙沼中央、気仙沼港、浦島大島、気仙沼鹿折、唐桑半島、唐桑小原木の各インターチェンジがある。藩政時代には気仙沼、赤岩(あかいわ)、新城(しんじょう)、月立(つきたて)、鹿折、唐桑、小原木(おばらき)の7村を総称して気仙沼といったが、旧気仙沼町は気仙沼本郷と称し、仙台藩直轄地となっていた。気仙沼湾は典型的なリアス海岸で、湾奥には天然の良港気仙沼港がある。古くからの漁港、また商業中心地であり、八日町などの市場地名も残っている。1956年に一景島(いっけいじま)埋立地に漁港、魚市場が建設され、新気仙沼港となった。三陸沖の漁場を控える県有数の漁港である。遠洋のカツオ・マグロ漁船の基地であり、またマグロやサンマなどの沖合漁業の水揚げ港でもある。中華食材フカヒレの生産でも知られる。鹿折地区には魚油工場、機械工場が立地する。湾岸の小漁村ではカキ、ホタテガイ、ワカメなどの養殖を行っている。気仙沼湾内の大島一帯は三陸復興国立公園(旧、陸中海岸国立公園)の一部で、亀山(かめやま)(235メートル)からは遠く金華山を望むことができる。島の北東岸の十八鳴(くぐなり)浜は歩くと音がする鳴り砂で知られる。市域南部の旧本吉町地区の海岸部一帯や田束(たつがね)山も三陸復興国立公園(旧、南三陸金華山国定公園)域。面積332.44平方キロメートル、人口6万1147(2020)。

[青柳光太郎]

〔東日本大震災〕2011年の東日本大震災では死者1218人・行方不明214人、住家全壊8483棟・半壊2571棟を数えた(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。2019年(令和1)5月時点で、防災集団移転促進事業、水産業の中核となる新魚市場や水産加工団地の整備、交通網の復旧・整備などの復興事業に取り組んでいる。

[編集部 2019年10月18日]

『『気仙沼市史』全9冊(1986~1997・気仙沼市)』


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