水着(読み)みずぎ

精選版 日本国語大辞典 「水着」の意味・読み・例文・類語

みず‐ぎ みづ‥【水着】

〘名〙 水泳の時に肌に着ける、十分身体の自由がきくように仕立てた簡単な衣服。海水着。《季・夏》
あめりか物語(1908)〈永井荷風〉夏の海「何処か水着を貸す家はあるまいかと」

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デジタル大辞泉 「水着」の意味・読み・例文・類語

みず‐ぎ〔みづ‐〕【水着】

水泳のときに身につけるもの。海水着。 夏》

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改訂新版 世界大百科事典 「水着」の意味・わかりやすい解説

水着 (みずぎ)

海水浴や水泳に用いる衣服。海水着ともいう。英語ではベイジング・ドレスbathing dress,また現代ではスイムスーツswimsuitともいう。水浴の習慣は古代からあったが,その際裸体であるかあるいは衣服を着けていたかは明らかではない。ブラジャーショーツだけのビキニ風スタイルの女性が,4世紀のシチリアのモザイクに描かれているが,これも水浴姿といえるかどうか不明である。男女ともに水浴の習慣が定着するのは19世紀以降である。医療を目的とした海水浴は18世紀の半ば,イギリスのブライトンで始まった。19世紀半ばにはベルギーのオーステンデはじめイギリス,フランスの各地で海水浴場やプールが次々に設けられた。それらは一種の社交場でもあり,それまで裸で泳いでいた男性も体にぴったりしたコンビネーションの水着をつけるようになった。女性は木綿やウール半袖のドレスの下に裾を絞ったパンタロンブルーマーズをはき,帽子をかぶっていた。靴下や靴をはいたスタイルも海辺で見られた。1833年の銅版画には,ウィーンの女性専用のプールで泳ぐ,帽子をかぶり膝下で絞ったパンタロンをつけた女性たちが描かれている。1907年には水泳選手のA.ケラーマンが着たことから,袖無しでぴったりした,膝上丈で両足の分かれたワンピースの水着が広まった。また20年にはアメリカのジャンセンが伸縮のきくウールのニットで水着をつくって売り出した。服飾デザイナーたちも水着をデザインするようになり,27年にはペッツィMaria Pezziがビキニ風の水着を発表した。しかしビキニ・スタイルがセンセーションを巻き起こすのは47年,南フランスの海水浴場にあらわれてからである。また64年にはアメリカのR.ガーンライヒがショーツのみで上半身には何も着けないトップレスを発表し,話題になった。

 日本でも海水浴は1881年ころ始まり,明治中期には全国に広がった。それ以前の水練の際には男子はふんどし,女子はじゅばんに腰巻姿であった。89年の《朝野新聞》では〈殊に驚くべきは,婦人達の大胆にも浴場に遊泳し,……身に薄き金巾の西洋寝巻をまとい,首に大なる麦わら帽をかぶり云々〉と女性の海水浴を非難している。やがて半袖で衿ぐりも小さく太股までおおうメリヤスの横縞の水着が流行し,昭和初期にはブラジャーとショート・パンツという水着もあらわれた。第2次大戦後はワンピース型,セパレート型,ビキニ型,また男性はぴったりした短いパンツのトランクス基本型となり,素材も改良され,デザインや色柄も豊富になって現在にいたっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水着」の意味・わかりやすい解説

水着
みずぎ

水泳、あるいは海水浴のためのスポーツ・ウエア。日本で海水浴が一般的に行われるようになったのは1887年(明治20)ころである。最初の女性用水着は、肌襦袢(じゅばん)とスカートという和洋折衷であった。それまでのものは、女は腰巻と襦袢、男は褌(ふんどし)であり、男子の褌は今日でも一部に受け継がれている。明治30年代になり、湘南(しょうなん)海岸一帯で海水浴が盛んになり始めると、ワンピース形式の膝丈(ひざたけ)で半袖(はんそで)、赤と紺、黒と白などの太い二色のメリヤス地で、俗にいう「縞馬(しまうま)スタイル」の水着が流行した。その後、フランスから導入された黒いシュミーズ型水着、さらには活動的なランニング・シャツ型のものが採用された。第二次世界大戦後、水着はメリヤスから織物へと転換することによって著しく発展し、女子は肩紐(ひも)付きのワンピース型、男子はトランクス型が一般的となった。1950年(昭和25)ごろに出現した小さなツーピース型水着「ビキニ」Bikiniは、1955年ごろから日本にも登場した。さらに1965年ごろにはトップレス水着「モノキニ」Monokiniなども出現し話題となった。今日水着は、社会の余暇時代、性的モラルの解放などを反映して、泳ぐ水着から見せる水着への傾向が強く、素材もさまざまな人工的、化学的な繊維の開発により、あらゆるデザインが可能になっている。

 ヨーロッパでも、人々は古代から楽しみ、または鍛錬として水泳をしたが、そのための特別な衣服は存在しなかった。19世紀になると各種のスポーツが盛んに行われるようになり、ヨーロッパ各地に海水浴場が開かれた。このころから、フランス、イギリスにスポーツ用としての水着が現れた。男子はシャツとズボン、女子はドレスの下に膨らんだズボンを組み合わせ、靴下と靴をはいた、ほとんど体を覆い隠すものであった。1900年ごろになると、女子は膝丈のキュロットと袖なし、あるいは短袖のチュニックに靴下、男子は縞の太もも丈、長袖のコンビネーションを着用するようになる。1920年代の衣服の短縮化、日焼けの大流行で、水着はしだいに縮小化し、1925年ごろほぼ現在のようなワンピース・スタイルとなった。1935年ごろからは上下二部形式のツーピース・スタイルが生まれた。

 現在、ヨーロッパのプライベート・ビーチなどでは、トップレス、あるいは水着をつけないことさえ容認されるようになっている。これからの水着が向かっている方向は、社会的モラルとのかかわり合いを抜きにしては論じられないといえよう。

[深井晃子]

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百科事典マイペディア 「水着」の意味・わかりやすい解説

水着【みずぎ】

水泳に用いる衣服。海水着とも。女性の水着は19世紀以後発達,初めは丈の長いナイトガウン式のものやゆったりしたズボンに上衣の組合せなどが用いられた。20世紀になって身体にぴったり合ったワンピース式やツーピース式の短いものが用いられ,第2次大戦後にはビキニ型も現れた。布地は伸縮性のあるナイロン,ポリウレタンなどの化合繊が用いられる。

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