汲・酌(読み)くむ

精選版 日本国語大辞典 「汲・酌」の意味・読み・例文・類語

く・む【汲・酌】

〘他マ五(四)〙
① 水などの液状のものを器ですくいとる。しゃくう。
書紀(720)神代下(寛文版訓)「遂(つい)玉鋺(たままり)を以て来て当に水を汲(クム)
② 酒や茶を器につぎ入れる。また、それを飲む。
太平記(14C後)二八「沛公酔て抔(さかつき)を酌(クム)に堪ず、退出し給ひ候つるが」
③ 他人の心中や事情を推察する。酌量する。
※新訳華厳経音義私記(794)「挹 因入反 酌水也 謂心測度於法也 酌音着 訓久牟」
※人情本・閑情末摘花(1839‐41)四「その取始末が出来ないかと、他(ひと)に汲(クマ)れるも残念だと」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「死ぬより辛いおもひをしてゐても、先では毫(すこ)しも汲んで呉れない」
④ ある系統をうけつぐ。→ながれ(流)を汲(く)む
※太平記(14C後)一「是は聖護院二品親王の御付弟にておはせしかば、法水(ほっすい)を三井の流に汲(クミ)(きべつ)慈尊の暁に期(ご)し給ふ」
⑤ 物の趣きを味わう。
蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉九「せめて弾く形の美しさに情趣を酌みたい」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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