決込・極込(読み)きめこむ

精選版 日本国語大辞典 「決込・極込」の意味・読み・例文・類語

きめ‐こ・む【決込・極込】

〘他マ五(四)〙
① 中にはいる物が、入れ物にすきまなくうまく合うように入れる。ぴたりとはめ込む。
※滑稽本・七偏人(1857‐63)初「羊羹の折のなかへすっぽりときめこませ」
② はっきり決める。きちんと決めてしまう。
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の顔「自分は予め題を決めこまず、もっと漠然たる自由な気持で思ひ出づるままにとも角も此回想記を書いて見る事にきめた次第である」
③ 事実や事の有りように関係なく、そうと決める。思い込む。ひとりぎめにする。
※大津順吉(1912)〈志賀直哉〉一「先生は日本第一のいい顔をした人だと私は独り決め込んで居た」
④ (「…を決め込む」の形で) 事情はどうあろうと、ある行動や態度を押し通す。きめる。また、そうすることにする。
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉八「サアサアここらでいちばんすくひあげをきめこまう」
※火の柱(1904)〈木下尚江〉四「我夫(あなた)仮睡(たぬき)などきめ込んでる時じゃありませんよ」
⑤ 自分がそうであるつもりになる。得意になってあるふりをする。きどる。
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一七「五六日前の晩に下谷摩利支天へ小町田と二人で、ぶらぶら義任(犬の川ばたといふしゃれ)をきめこんだが」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一「彼は余念もなく、アンドレアデルサルトを極め込んで居る」
⑥ 強く非難する。また、きつい調子で一方的に言う。きめつける。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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