沢瀉・面高(読み)おもだか

精選版 日本国語大辞典 「沢瀉・面高」の意味・読み・例文・類語

おも‐だか【沢瀉・面高】

[1] 〘名〙
オモダカ科の多年草。各地の水田、池、沼などに生える。高さ三〇~六〇センチメートル。葉は鏃(やじり)形で長い柄をもつ。夏、花茎を伸ばし、その上部に白い三弁の花を輪生する。上部のものは雄花で、下部は雌花となる。秋、株の間から地下枝を出し、先端に小形の芽をつける。塊茎は利尿剤などの薬効があり、大きなものは食用にする。なまい。はなぐわい。ごわい。漢名、野茨菰。《季・夏》 〔本草和名(918頃)〕
② 模様の名。オモダカの葉を図案化したもの。
平家(13C前)九「小次郎はおもだかを一しほ摺ったる直垂に、節縄目の鎧きて」
③ 紋所の名。オモダカの葉、または花と葉を取り合わせて図案化したもの。沢瀉、長門沢瀉、沢瀉巴、抱き沢瀉、五葉沢瀉、大関沢瀉沢瀉桐、沢瀉の丸、違い沢瀉、水沢瀉、向かい沢瀉、立ち沢瀉など種々ある。
浄瑠璃・曾我五人兄弟(1699頃)紋尽し「梅鉢・おもだか・橘・桜花・大小名の家の紋」
④ 鏃(やじり)の一種。尖矢(とがりや)の尖根(とがりね)の腸抉(わたくり)の形で、オモダカの葉に似たもの。
[2] 源氏八領の鎧の一つ。札(さね)黒塗、総萌葱の糸で、沢瀉威(おもだかおどし)にし、耳糸は白を用いたと伝える。はなぐわい。
平治(1220頃か)上「朝長は十六歳、朽葉の直垂に、沢瀉とて、沢縅にしたる重代の鎧に、星白の甲を着」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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