河口湖(湖)(読み)かわぐちこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「河口湖(湖)」の意味・わかりやすい解説

河口湖(湖)
かわぐちこ

山梨県南部にあり、富士五湖の一つ。山梨県南都留(みなみつる)郡富士河口湖町に属する。富士山溶岩流のせき止め作用による。湖面標高は831メートルで、五湖のなかでもっとも低い。周囲18キロメートル、面積5.7平方キロメートル、最大深度は14.6メートル。人工の流入口が西湖(さいこ)との間に、排水口が船津(ふなつ)にある。中栄養湖で、ワカサギコイフナナマズなどの魚類も豊富であったが、近年湖水の汚染が進み問題となっている。五湖中で、東京方面、甲府方面との交通の便がもっともよいばかりでなく、富士スバルラインをはじめ、他の湖への足の便もよいため、富士山北麓(ほくろく)での最大の観光基地となっている。ホテル、旅館、土産(みやげ)物店が湖の南東側に集中しているため、交通混雑の緩和のねらいもあり、1971年(昭和46)に河口湖町(現、富士河口湖町)の産屋ヶ崎(うぶやがさき)から対岸まで、河口湖大橋(500メートル)を含む1600メートルの有料道路(2005年無料化)が開通した。また近年は、農村地帯であった大石方面の観光地化が進んでいる。湖にその姿を映した「逆さ富士」は河口湖の観光資源であるが、近年、山中湖とともに渇水時に湖底付近からマリモが発見され「富士マリモ」として紹介されている。湖中の鵜ノ島(うのしま)は縄文弥生時代土器が出土することで知られる。2013年(平成25)に河口湖を含め富士五湖は、富士山域や周辺の神社、忍野八海(おしのはっかい)等の構成資産とともに「富士山―信仰の対象と芸術源泉」として世界文化遺産リストに登録された。

吉村 稔]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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