精選版 日本国語大辞典「河豚・鰒」の解説
ふぐ【河豚・鰒】
〘名〙 (古くは「ふく」)
① フグ目フグ科に属する魚類の総称。種によって海水から淡水まで生息環境は異なる。広義には近縁の科を含めていう。一般に、体は長卵形で太り、鱗(うろこ)はなく柔らかい。口は小さく、突き出ており、四枚になった強い歯をもつ。肉食性。外敵に襲われると食道の一部にある袋をふくらませ、体を大きくふくらませる習性がある。腹びれはなく、背びれは小さい。一般に、肝臓・卵巣など内臓にテトロドトキシンと呼ばれる毒をもち、食べると中毒を起こし、死亡することもある。この毒は海底や海中のバクテリアがつくりだしたものを、食物連鎖を通してとり込み、蓄積するものであることが知られている。肉は無毒で美味なものも多く賞味されるが、中には有毒な種もある。食用にされるものには代表種のトラフグ・マフグ(ナメラフグ)・ショウサイフグなどがある。秋から春にかけて賞味する。かとん。ふくと。ふくとう。ふくべ。こうい。てっぽう。《季・冬》
※出雲風土記(733)島根「凡北海所レ捕雑物、志毗・
(ふぐ)・沙魚」 〔本草和名(918頃)〕

② 魚「かまきり(鎌切)」の異名。
④ すぐ怒ってふくれる人。
⑤ (あたると死ぬという共通点から) 鉄砲のこと。
※雑俳・柳多留‐五〇(1811)「鰒に当って死んだは定九郎」
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