沸上・湧上・涌上(読み)わきあがる

精選版 日本国語大辞典 「沸上・湧上・涌上」の意味・読み・例文・類語

わき‐あが・る【沸上・湧上・涌上】

〘自ラ五(四)〙
[一] (沸上)
液体が熱せられて、激しく煮えかえる。沸騰する。また、あたたまってある適当な温度になる。
四河入海(17C前)一三「雨脚は、湯のずる時わきあかるを云ぞ」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「冬は湯が湧ぬ、夏は捨て置ても湧上(ワキアが)るはさ」
水面などが激しく波立つ。波が高く荒れる。
※大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)一「洪濤洶湧(ワキアガリ)て、又船無し」
③ 激しく騒ぎ立てる。また、いっせいに歓声や興奮した雰囲気などがあたりに広がる。わきかえる。〔御巫本日本紀私記(1428)〕
※写生紀行(1922)〈寺田寅彦〉「騒騒しい談笑が客車の中に沸き上った」
[二] (湧上・涌上)
① 心の中にこみあげてくる。感情の動きや疑いの気持などが高まってくる。
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉一〇「湧上(ワキアが)って来る癇癪を抑へ」
② 物が下方からわき出て現われてくる。雲やけむりなどが生じて上にあがる。
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏「雲の峰がむくむく湧揚(ワキアガ)って居る」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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