泉南(市)(読み)せんなん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「泉南(市)」の意味・わかりやすい解説

泉南(市)
せんなん

大阪府南西部、大阪湾に面する市。1970年(昭和45)市制施行。市名は和泉(いずみ)国の南に位置することに由来。南東部は和歌山県と境する和泉山脈で、北西に向かって泉南丘陵・台地、さらに樫井(かしい)川と男里(おのさと)川のつくる海岸平野が開ける。交通は、海岸沿いに大阪―和歌山を結ぶ南海電気鉄道本線と国道26号、台地をJR阪和線と阪和自動車道が走る。なお、関西国際空港のある空港島の南部は泉南市に属している。開発は古く、弥生(やよい)時代の遺跡や奈良時代の条里制遺構が残り、僧行基(ぎょうき)築造の海営宮池(かいごいけ)など溜池灌漑(ためいけかんがい)が行われた。平安時代以降、熊野街道の要地として知られ、信達(しんだち)をはじめ根来(ねごろ)街道の起点樽井(たるい)などの集落が発達した。近世にはワタの栽培が盛んで、和泉木綿の産地となり、これを基盤に繊維工業の一中心地となった。なかでも特殊紡績の20番手以上の特種毛糸の産地として全国に知られる。このほか金属工業などがある。農業は平地泉州タマネギが特産であったが、園芸農業に転換しつつあり、丘陵部ではミカン栽培がある。景勝地砂川(すながわ)奇勝古刹(こさつ)金熊寺(きんゆうじ)梅林などがある。海営宮池近くの海会寺跡(かいえじあと)は国の史跡に指定され、隣接して泉南市埋蔵文化財センターが設置されている。面積48.98平方キロメートル、人口6万0102(2020)。

[位野木壽一]

『『泉南市史 史料編』『泉南市史 通史編』(1982、1987・泉南市)』


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