泰然自若(読み)たいぜんじじゃく

精選版 日本国語大辞典 「泰然自若」の意味・読み・例文・類語

たいぜん‐じじゃく【泰然自若】

〘形動タリ〙 落ち着いて物事に動じないさま。
地獄の花(1902)〈永井荷風〉二〇「どうして泰然自若とした穏かな心を保って居る事が出来やう」

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デジタル大辞泉 「泰然自若」の意味・読み・例文・類語

たいぜん‐じじゃく【泰然自若】

[ト・タル][文][形動タリ]落ち着いていて物事に動じないさま。「泰然自若として騒がず」
[類語]広い寛闊かんかつ寛大寛容寛弘かんこう広量大様おおよう大らかおっとりさりげない何気ないそれとなくそれとなしに何心ない遠回し気軽い何とはなし鷹揚おうよう磊落らいらく開豁かいかつ闊達豪胆豪放剛毅放胆大胆太っ腹雅量大量悠揚悠然泰然綽然しゃくぜん自若悠悠浩然堂堂正正堂堂毅然肝が据わる腹が据わる

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四字熟語を知る辞典 「泰然自若」の解説

泰然自若

落ち着いて物事に動じない様子

[活用] ―として・―たる。

[使用例] 俺の泰然自若は、俺がこういう場面に慣れていなかったせいにすぎない。ロクや丸万があわてたのは、公然の殺人をよく知っていたからだ[高見順*いやな感じ|1960~63]

[使用例] 酒を飲んでもへいぜいと変らず泰然自若でありたい。私は、やはり、じょうぜつになりクドクなるところがある[山口瞳*酒呑みの自己弁護|1973]

[使用例] 予想通り車内は地獄、ところが、みななれているのか余裕綽々しゃくしゃくで、新聞を読む人、音楽を聴く人、心頭滅却すれば火もまた涼し、なんてな風情で泰然自若としている[町田康*へらへらぼっちゃん|1998]

[解説] 「泰然」も「自若」も古いことばですが、つないで使うのは近代以降のことです。「慌てずに、泰然自若としている」などと言います。なぜ物事に動じない様子をこう言うのでしょう。
 「泰」は「泰平」「安泰」と言うように、危険がなく、落ち着いていることです。また、「然」は「~の様子」を表します。「平然」の「然」と同じです。したがって、「泰然」は落ち着いた様子、ということになります。
 わかりにくいのは「自若」のほうです。「自分が若い」ことかと思ってしまいますが、そうではありません。
 「自」は「もともと」の意味を表します。「自明」(=最初から明らか)の「自」と同じです。また、「若」は「然」と同じで「~の様子」を表します。したがって、「自若」はもとのままの様子、ということになります。
 まとめると、落ち着いて、もとのまま変わらない様子。これが「泰然自若」です。ひとつひとつの漢字の意味がわかると、熟語が理解できます。

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