洪昇(読み)コウショウ

デジタル大辞泉 「洪昇」の意味・読み・例文・類語

こうしょう【洪昇】

[1645~1704]中国、清初の劇作家銭塘せんとう浙江せっこう省)の人。あざな昉思ほうし。号、稗畦はいけい。唐の玄宗楊貴妃ようきひ物語に取材した「長生殿」は、清代戯曲代表作

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「洪昇」の意味・わかりやすい解説

洪昇
こうしょう
(1645―1704)

中国、清(しん)代の戯曲作家。字(あざな)は昉思(ほうしん)。号は稗畦(はいけい)、稗村(はいそん)と称す。杭州(こうしゅう)の名家に生まれ、幼時から家塾で詩文を学ぶ。24歳で北京(ペキン)国子監生となり、王士禎(おうしてい)の門下に入り、施閏章(しじゅんしょう)に詩法を学ぶ。父が捕らえられ(理由は不明)家が没落、官途も開けなかった。若いときから戯曲をつくり、47歳のとき『長生殿』が完成すると大好評を得て貴族高官の宴に盛んに上演された。成功を祝う上演の会が皇后喪中であったため多数の参会者文人が罰せられ、洪昇は国子監を除籍となり、江南各地の名士を頼り放浪生活を送る。呉興の近くで酒に酔い舟から落ちて溺死(できし)した。詩集『稗畦集』がある。

[平松圭子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「洪昇」の意味・わかりやすい解説

洪昇
こうしょう
Hong Sheng

[生]順治2(1645)
[没]康煕43(1704)
中国,清初の劇作家。浙江省銭塘の人。字,昉思 (ほうし) 。号,稗村 (はいそん) 。没落貴族の家に生れ,若くして北京に出て詞曲の才を示し,妻の援助を受けてつくった玄宗皇帝と楊貴妃悲恋を描いた長編戯曲『長生殿』が爆発的な人気を得,たちまち劇界の寵児となった。しかし康煕 23 (1684) 年,国忌の日に『長生殿』を上演したため弾劾され,以後不遇の身となり,旅の途中,呉興で水に落ちて死んだ。『桃花扇』の作者孔尚任と並んで,「南洪北孔」と称される。ほかに『沈香亭』『回文錦』『四嬋娟 (しぜんけん) 』などの戯曲があり,また詩文集に『稗村集』がある。

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世界大百科事典(旧版)内の洪昇の言及

【長生殿】より

…中国,清代の戯文。洪昇(1659‐1704)の作。楊貴妃が唐の玄宗に寵愛されるに至る経緯から,安禄山の乱,馬嵬坡での死を描き,乱後,玄宗が法壇を設けて貴妃の霊を招き,道士が月宮に向かって仙橋を架け,玄宗を導いて貴妃と再会させる,という筋である。…

※「洪昇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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