浄土寺(広島県)(読み)じょうどじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「浄土寺(広島県)」の意味・わかりやすい解説

浄土寺(広島県)
じょうどじ

広島県尾道(おのみち)市東久保町にある真言(しんごん)宗泉涌寺(せんにゅうじ)派大本山。転法輪山(てんぽうりんざん)大乗院と号する。本尊は十一面観世音(かんぜおん)。寺伝によると、推古(すいこ)天皇の代、聖徳太子創建。のち衰退したが、1306年(徳治1)定証(じょうしょう)が再興して律宗を広めた。1325年(正中2)に全山焼亡、1327年(嘉暦2)に再建された。のち足利尊氏(あしかがたかうじ)・直義(ただよし)兄弟が帰依(きえ)し外護(げご)したので栄えたが、近世には荒廃した。寺宝は多く、本尊十一面観世音立像、木造聖徳太子像(2体)、浄土寺文書1巻、定証起請文(きしょうもん)1巻、孔雀金(くじゃくそうきん)経箱、仏涅槃(ぶつねはん)図などが国重要文化財に指定されている。また、本堂(1327建立)、多宝塔(1329建立)が国宝に、阿弥陀堂(あみだどう)、山門、石造宝篋印塔(ほうきょういんとう)2基、納経石塔、伏見(ふしみ)城の遺構と伝える露滴庵(ろてきあん)茶室は国重要文化財、方丈に面した庭園は国の名勝に指定されている。隔年8月18日に行われる太鼓踊(吉和踊)は足利尊氏の戦勝を祝ったのに始まると伝え、太鼓を打ちながら市中踊り歩き、浄土寺の本堂前と丹生明神(にうみょうじん)前で踊りが奉納される。

[祖父江章子]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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