浪速区(読み)ナニワク

デジタル大辞泉 「浪速区」の意味・読み・例文・類語

なにわ‐く〔なには‐〕【浪速区】

なにわ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「浪速区」の解説

浪速区
なにわく

面積:三・八三平方キロ

大阪市の中央部でやや南西寄りにある。北は道頓堀どうとんぼり川を挟んで西区、北東は南区、東は天王寺区、南は西成にしなり区、西は木津きづ川を挟んで大正区。当区は東部が上町うえまち台地の西端にかかる洪積層で、西部が木津川など淀川の河口河川の堆積作用によって形成された沖積層からなる。そのため東から西に向かって低くなる地形を示し、最高地でも標高九メートルを越えない。区名は大阪の古名である浪速による。

〔原始・古代〕

当区域は海浜・寄洲の地で、原始時代は大部分が海面下にあったとみられる。明治一一年(一八七八)からのいたち川と難波新なんばしん川との連絡水路の開削に伴って発掘された楠材の刳船や、昭和四年(一九二九)工事中の南海難波駅付近から発見された土器・獣骨なども内陸部から流出・堆積したものと判断されている。その後古代を通じて陸地化が進むが、延喜(九〇一―九二三)頃、現区域の東部にあたる今宮いまみや地区は海岸地帯で、漁民の集住する地であった。同一一年朝廷に対する日次の御贄(供御)を備進する国が指定され、多数の御厨が設置された時、今宮辺りも魚介類を備進する御厨に指定され、漁民は供御人になったとみられている。これが中世活躍する今宮供御人の始まりである。なお当区は、聖徳太子建立の四天王寺(現天王寺区)に近接するためか、鼬川・木津など同寺開創にちなむ伝説が多い。

〔中世〕

鎌倉時代前期には木津地区の東部まで陸地化が進んでいたと思われる。「源平盛衰記」巻四七に「今宮の前木津と云ふ所」から入水した記事がみえる。こうした陸地化の進行に伴って開発も行われたようで、現在の南区南部・西区南部および当区の北部にわたる成勝じようしよう(跡地は現京都市左京区)領難波庄や、四天王寺領木津庄(木津浦とも)の名がみえるようになる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「浪速区」の意味・わかりやすい解説

浪速〔区〕
なにわ

大阪市中部の区。 1925年第2次市域拡張に伴い新設。淀川三角州に位置し,北は西道頓堀川,西は木津川で限られる。西道頓堀川に接する湊町は JR関西本線の起点で,南海電気鉄道の起点難波とともに繁華街ミナミ」の玄関口をなす。難波駅の南には府立体育館などを筆頭にスポーツ施設が集中。問屋街が多く,日本橋筋の電気器具街,御蔵跡 (おくらと) 町の履物街,大国町の皮革街などがある。南東部の新世界は,東隣の天王寺公園の開設に際して設けられた娯楽街で,通天閣 (高さ 103m) ,ジャンジャン横丁などで有名。今宮には商売繁昌の神で知られる今宮戎 (いまみやえびす) 神社がある。 JR大阪環状線のほか,地下鉄千日前線,四つ橋線,御堂筋線,堺筋線などが通る。面積 4.39km2。人口 7万5504(2020)。

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