海東青(読み)かいとうせい(英語表記)hǎi dōng qīng

精選版 日本国語大辞典 「海東青」の意味・読み・例文・類語

かいとう‐せい【海東青】

〘名〙 (「青(せい)」は「青骹(せいこう)」の略で、青い脛の鷹(たか)の意) 鷹のこと。また、中国海東と呼ぶ、沿海州から東北部の奥地にかけてすむ鷹。この地方からすぐれた鷹が献上されることが多かったところからいう。海青。
※中華若木詩抄(1520頃)下「海東青と云も鷹の名也。逸物也」 〔宋史‐太祖紀〕

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改訂新版 世界大百科事典 「海東青」の意味・わかりやすい解説

海東青 (かいとうせい)
hǎi dōng qīng

モンゴル地方で鷹狩りや通信に用いられる隼(はやぶさ)の古称。海東青鶻(こつ)ともいう。モンゴル語ではShongqur学名Falco peregrinus。元朝の軍団の中には鷹狩りを職とするシバウチ(昔宝赤)があり,また鷹房(ようぼう)都総管府という官庁が鷹房戸を監督して優秀な鷹を飼育させた。モンゴル帝国特使に給せられた海青牌は,海東青をかたどった装飾を有する円形の金属製の通行手形であり,これにより駅伝制度上の特権を保証され,時には物資徴発を許された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海東青」の意味・わかりやすい解説

海東青
かいとうせい
Hai-dong-qing; Hai-tung-ch`ing

タカ一種。海東青鶻 (かいとうせいこつ) ,海青ともいう。学名 gylfalco。狩猟用。またその羽でつくった裘 (きゅう。衣のこと) は,はなはだ珍貴であるという。沿海州方面の産。の王侯貴族は鷹狩に愛用,女真にその献上を命じて多大の犠牲を払わせ,ワンヤンアクダ (完顔阿骨打)の反遼独立 (金朝建国) の一因となった。元末にも順帝の宮廷の同じ命令が吾者 (ウェジ Weji) 野人の反乱を招いた。清初まで猟鳥として使われた。

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