海王丸(読み)カイオウマル

デジタル大辞泉 「海王丸」の意味・読み・例文・類語

かいおうまる〔カイワウまる〕【海王丸】

半井桃水による新聞小説。明治22年(1889)、「東京朝日新聞」に掲載

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海王丸」の意味・わかりやすい解説

海王丸
かいおうまる

航海訓練所に所属する帆船練習船。全国の商船大学商船高等専門学校の学生の海上実習などを行っている。なお、航海訓練所は、独立行政法人航海訓練所法(1999年12月22日公布、2001年1月6日施行法律213号)により、独立行政法人化された。それ以前は、長らく運輸省に属し、2001年(平成13)1月の省庁再編時には国土交通省の管轄とされ、以降も国土交通省が主務省となる。

[茂在寅男]

初代海王丸

1928年(昭和3)文部省商船学校の練習船として、姉妹船日本丸とともに建造を計画。1930年文部省航海練習所が設置され、同年日本丸と海王丸は竣工(しゅんこう)し同所の所管となり練習船としてスタートをきった。1943年同所は航海訓練所と改名逓信(ていしん)省を経て、45年から運輸省航海訓練所所管となる。初代海王丸は、神戸川崎造船所で建造、1930年2月14日進水。2238総トン、長さ97メートル、幅13メートル、ディーゼル機関2基、出力1440馬力、4檣(しょう)(4本マスト)バーク型帆船、鋼製。日本丸とともに日本の帆船練習船として、50年以上にわたって花形的存在であった。大海原を帆走する美しい姿から「海の貴婦人」とたたえられ、実に1万1000人を越える海の男たちを育ててきたのである。総航海距離は北太平洋を中心に約106万海里(約196万キロメートル)、地球を約50周したことになる。しかし、船齢60年近くになり老朽化も目立ってきた。そのため運輸省では、新造の2代目海王丸の建造にかかり1989年(平成1)竣工、同時に初代海王丸は引退した。その後、財団法人帆船海王丸記念財団に移管され富山県新湊(しんみなと)市(現射水(いみず)市)に係留、保存帆船として一般公開され、この一画は海王丸パークとなっている。資料展示、海洋訓練・講座・イベントの開催、定期的な展帆などを行う。

[茂在寅男]

2代目海王丸

初代海王丸にかわる第2代目の新造帆船で、住友重機械工業追浜(おっぱま)造船所浦賀(うらが)工場で建造、1989年3月7日進水した。使用目的および所属・運営等は、初代と同様であるが、2代目海王丸は実習生の航海訓練以外に一般人の体験航海・海洋教室などにも利用され海事思想の普及に貢献している。2556総トン、長さ110.09メートル、幅13.80メートル、ディーゼル機関2基、出力1500馬力×2、4檣バーク型帆船。

[茂在寅男]


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世界大百科事典(旧版)内の海王丸の言及

【日本丸】より

…全長97.05m,総トン数2286トン。姉妹船に海王丸がある。商船学校では小型の帆船により船員教育を行ってきたが,海難事故が相次いだため明治後期からは安全性能のすぐれた大型船を使用するようになり,1904年の大成丸(総トン数2423トン),24年の進徳丸(2518トン)に次いで地方公立商船学校の練習船として建造されたのが日本丸と海王丸である。…

※「海王丸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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