浸・漬(読み)ひたる

精選版 日本国語大辞典 「浸・漬」の意味・読み・例文・類語

ひた・る【浸・漬】

[1] 〘自ラ五(四)〙
液体、またはその類のものにはいる。完全ではなく一部がつかる。
拾遺(1005‐07頃か)雑上・四五七・詞書「賀の屏風に松の海にひたりたる所を」
古本説話集(1130頃か)六七「こしよりしもは、でいにひたりて、御あしもまくろにて」
② ある心境・状態にはいりきる。
洒落本・風俗八色談(1756)三「幼少より酒に涵(ヒタ)り居れば、其徳ある事はよく知れり」
家族会議(1935)〈横光利一〉「昨夜泰子の家で、安閑と一人幸福に浸ったことが」
[2] 〘自ラ下二〙 (一)①に同じ。
※浄瑠璃・平家女護島(1719)二「腰の一重が波にひたれてはだゑも見えすく」

ひた・す【浸・漬】

〘他サ五(四)〙
① 液体の中に入れる。漬ける。
書紀(720)仁徳六二年五月(前田本訓)「水酒に漬(ヒタ)して用ふ」
蜻蛉(974頃)中「手足もひたしたれば」
② ぬれるようにする。ぐっしょりとぬらす。しめす。おしひたす。
③ ある雰囲気心情に入りこませる。
湯葉(1960)〈芝木好子〉「興奮緊張にひたされているときも」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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