淡々(読み)たんたん

改訂新版 世界大百科事典 「淡々」の意味・わかりやすい解説

淡々 (たんたん)
生没年:1674-1761(延宝2-宝暦11)

江戸中期の俳人。本姓は曲淵。ふだんは松木姓を名のる。大坂の人。初号は因角。1700年(元禄13)冬江戸に移り,渭北と改号,不角と其角に従った。彼自身は,江戸で芭蕉にまみえ,呂国の号を得たと述べるが,信じるべきでない。04年(宝永1)に芭蕉のあとを慕って奥州に行脚し,《安達太郎根(あだたらね)》を編んだ。07年,其角没後淡々と改号,翌年秋に京に移住した。当初,京での俳諧活動はほとんどなく,江戸に出た機会に旧友と俳交を楽しむ程度であったが,15年(正徳5)《十友館》《六芸》を編んだころから京俳壇を地盤として熱心に活動を開始,16年(享保1)に鷲峰山中腹に半時庵を結び,翌年《にはくなふり》を世に問うた。34年大坂に帰り,ますます勢力を伸ばした。後世史家によって毀誉褒貶(きよほうへん)がはなはだしく,享保俳壇を低俗化させた一人とも評される。とくに,前句を無視した高点付句集を刊行し,連句の解体に拍車をかけたことは,俳諧史上重大な出来事として記憶されなければならない。〈はつ雪や波のとゞかぬ岩のうへ〉(《淡々発句集》)。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「淡々」の解説

淡々 たんたん

松木淡々(まつき-たんたん)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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