淫・婬(読み)いんする

精選版 日本国語大辞典 「淫・婬」の意味・読み・例文・類語

いん‐・する【淫・婬】

[1] 〘自サ変〙 いん・す 〘自サ変〙 (古くは「いんず」とも)
① みだらなことをする。性行為をする。
※寛永版曾我物語(南北朝頃)五「まことや天人のいんぜざる所は、禍ありて而かも幸無しと、東方朔が詞思ひ知られて候」
② (多く「…に」の形を受けて用いられる) 度を過ごして、ある物事に熱中する。ある状態の度が過ぎる。ふける。おぼれる。
太平記(14C後)四「色に婬して道に暗し」
※読本・雨月物語(1776)白峯「汝家を出でて仏に婬し、未来解脱(げだつ)利慾を願ふ心より」
[2] 〘他サ変〙 いん・す 〘他サ変〙
① 惑わす。惑乱する。
② 性交する。姦淫する。
※九冊本宝物集(1179頃)八「命をうしなはじが為に、下女を婬するなり」

いん【淫・婬】

〘名〙
程度をすごしてものごとをすること。むさぼること。ほしいままにすること。
易林本節用集(1597)「婬 スグル イン」
② (形動) 男女間の性的関係が乱れていること。みだらなさま。
続日本紀‐天平宝字三年(759)六月丙辰「不己妻他女婬」 〔春秋左伝‐成公二年〕
③ 色欲。性欲
今昔(1120頃か)一四「経師、一人の女を見て忽に愛欲の心を成し、婬盛りに発(おこ)して」
④ 男女交接のときに性器から出る液。とくに、精液淫水
※今昔(1120頃か)一七「天女の像の裳の腰に、不浄の婬付て染たり」

いん‐・す【淫・婬】

〘自他サ変〙 ⇒いんする(淫)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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