日本大百科全書(ニッポニカ) 「混合栄養(育児)」の意味・わかりやすい解説
混合栄養(育児)
こんごうえいよう
母乳と母乳以外の乳汁成分(主として育児用調整粉乳――人工乳)による栄養法。母乳分泌不足や、母親が就労などのため直接授乳が困難な場合に、母乳に人工乳を追加して与える栄養法である。
母乳分泌不足の場合、どのように人工乳を追加すべきかが問題となる。母乳の分泌は吸啜(きゅうてつ)による乳首への刺激によって促されるため、母乳分泌不足がみられ始めた当初は、まず母乳を与え、ついで不足分を追加乳として哺乳瓶(ほにゅうびん)から与える。この場合は、乳児の吸啜力が哺乳開始当初にもっとも強いため、分泌の悪い乳房から授乳するとよい。生後2、3か月を過ぎた乳児は、母乳と人工乳の区別がわかるようになるため、授乳時間ごとに母乳か人工乳かの一方だけを与えるほうが望ましい。とくに睡眠後は母乳分泌が豊かであることに留意する。
母乳分泌不足の場合には、安易に人工乳に依存しようとせず、まずは分泌を促す努力をすべきである。
[帆足英一]
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