清元お葉(読み)きよもとおよう

精選版 日本国語大辞典 「清元お葉」の意味・読み・例文・類語

きよもと‐およう【清元お葉】

邦楽家。清元名手。二世延寿太夫の娘。四世延寿太夫の妻。美声で芸にすぐれ、市川九女八(くめはち)(=初世)、哥沢芝金(うたざわしばきん)(=三世)とともに明治期女芸人の三幅対と呼ばれた。「三千歳(みちとせ)」の作曲者といわれる。また、小唄「あの花が」「梅の実」などを作曲。天保一一~明治三四年(一八四〇‐一九〇一

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改訂新版 世界大百科事典 「清元お葉」の意味・わかりやすい解説

清元お葉 (きよもとおよう)
生没年:1840-1901(天保11-明治34)

清元節演奏家。2世清元延寿太夫の娘で,4世延寿太夫の妻。明治時代の女流邦楽家として著名である。幼いころから演奏にも作曲にも才を発揮し,4世延寿太夫を助けて,清元隆盛に尽力した。小唄の《あの花が》《散るはうき》《梅の実》などを作曲したほか,清元節の《三千歳(みちとせ)》を作曲したとする説もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「清元お葉」の意味・わかりやすい解説

清元お葉
きよもとおよう
(1840―1901)

明治の女流清元の名手。2世清元延寿太夫(えんじゅだゆう)の娘で、母はお磯(いそ)。19歳のときに斎藤源之助(後の4世延寿太夫)を婿(むこ)に迎える。両親の優れた芸質を生まれながらに備え、恵まれた才能を遺憾なく発揚して夫を補佐(ほさ)し、清元節隆昌(りゅうしょう)のために精進を怠らず、市川九女八(くめはち)、3世哥沢芝金(うたざわしばきん)とともに明治女芸人の三幅対(さんぷくつい)と称せられた。横浜・富貴楼(ふっきろう)お倉の引き立てで、貴顕紳商の宴席余興に招かれて浄瑠璃(じょうるり)を語っていたことから、5世延寿太夫の養母となる縁が結ばれる端緒となった。また小唄(こうた)発展への道を開拓した功労者としても著名である。

[林喜代弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清元お葉」の意味・わかりやすい解説

清元お葉
きよもとおよう

[生]天保11(1840)
[没]1901
清元節の演奏家,作曲家。2世清元延寿太夫の娘。4世清元延寿太夫はその婿養子。若くから演奏,作曲に優れていたと伝えられる。夫に協力して清元節発展に尽した。また,小唄の『あの花が』『梅の実』『散るはうき』などを作曲。清元節『三千歳』を彼女の作とする説もある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「清元お葉」の解説

清元お葉 きよもと-およう

1840-1901 幕末-明治時代の浄瑠璃(じょうるり)太夫。
天保(てんぽう)11年1月生まれ。2代清元延寿太夫の娘。4代延寿太夫の妻。演奏と作曲にすぐれ,夫をたすけて清元節の発展につくす。市川九女八(くめはち),3代哥沢芝金(うたざわ-しばきん)とともに明治女芸人の三幅対と称される。小唄「散るはうき」「あの花が」などを作曲。明治34年5月2日死去。62歳。江戸出身。本名は岡村葉。

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朝日日本歴史人物事典 「清元お葉」の解説

清元お葉

没年:明治34.5.2(1901)
生年:天保11(1840)
明治期に市川九女八,3代目哥沢芝金と共に女芸人の三幅対に数えられた清元節の名人。2代目清元延寿太夫の次女で,4代目延寿太夫の妻。名人といわれた父の芸をよく継いで,延寿太夫の三味線を勤める2代目清元梅吉を仕込むなど,明治期の清元節興隆の基礎を固めた功労者である。小唄も作曲,「散るはうき」「あの花が」などがある。

(竹内有一)

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世界大百科事典(旧版)内の清元お葉の言及

【小歌(小唄)】より

…清元は流行歌を自流に取り込むことにたけ,日ごろから端唄風の作曲を心がけていた。清元お葉は16歳で《散るはうき》(最初の小唄といわれる唄)を作曲している。河竹黙阿弥作の《小袖曾我薊色縫》のために作曲された清元《梅柳中宵月(うめやなぎなかもよいづき)》(《十六夜》)の中の端唄《忍ぶなら》は大好評を得たが,この小唄もお葉の作といわれている。…

【三千歳】より

…本名題《忍逢春雪解(しのびあうはるのゆきどけ)》。作詞河竹黙阿弥,作曲2世清元梅吉(清元お葉の説もある)。1881年3月,5世尾上菊五郎,8世岩井半四郎ほかで東京新富座初演。…

※「清元お葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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